日本IBMは25日、ミッドレンジ・サーバ「IBM System i」のハイエンドモデルとしてプロセッサにIBM POWER6を搭載した新製品「同570」を発表した。価格は最小構成で6,227万円から(税込)。出荷開始は9月14日の予定。
System iはオフコンと位置づけられたかつてのAS400の後継機種に相当するミッドレンジ・サーバ。今年4月に発売されたローエンド・モデル「IBM System i 525 Express」を始め、他のモデルはすべてPOWER5プロセッサを採用する中、570はSystem iとして唯一のPOWER6搭載モデルとなった。
System i事業施策について説明を行なったシステムi事業部 事業部長の皆木宏介氏は、既存ユーザー向けに既存資産の保護を確実にすると同時に、他社製メインフレームやUNIX/x86サーバのユーザーを対象とした新規ユーザー獲得にも積極的に取り組むことを表明した。2007年の施策として同氏が挙げたのは、「他社機置き換え施策の強化、推進」「ビジネス・パートナーおよびISVとの積極的な協業推進」「ニューワークロードへの対応強化」の3点。パートナーとの協業では、ソリューションの発掘および成功事例の横展開に取り組む。また、新用途開拓では、Web 2.0やJava、PHPといった従来System iではあまり利用されていなかった用途への対応の強化を行なっていくという。
続いて製品の説明を行なった米IBMのパワーシステムズ i5/OS&System iプロダクト・オファリングス担当マネジャーのイアン・ジャーマン氏はSytem i 570について「シリーズ中のハイエンドモデルで、大規模から中堅規模の企業の事業効率改善に寄与する」と位置づけた。処理内容にもよるが、POWER6はPOWER5に比べて約2倍のパフォーマンスが得られると同時に電力効率は67%向上しているという。
併せて、i5/OSの新バージョンとなる「i5/OS Version 6」(i5/OS V6R1)も、開発意向表明という形で2008年リリース予定であることが公表された。i5/OS V6R1では、「セーフ・コンピューティングへの取り組み」「仮想化技術」「Webベースのシステム管理」「SAN統合」といった要素について機能拡張が行なわれているという。
i5/OSでの新たな用途開拓手段としては、オープンソース・ソフトウェアであるPHPおよびMySQLへの対応も発表されている。
MySQLに関しては、i5/OS対応版のMySQLとして「MySQL Enterprise Server for i5/OS」が発表された。提供開始は8月17日の予定。なお、一部モデルには追加料金なしで同梱出荷される見込み。MySQLの統合強化は今後も継続的に行なわれる予定で、将来はMySQLをDB2 for i5/OSのストレージ・エンジンとして統合し、MySQLベースのアプリケーションをDB2 for i5/OSから管理できるようにすることも計画されている。
このほか、従来提供していた「Query for iSeries」の機能を強化したi5/OS上でのWeb環境向けBIツールとして、新たに「IBM DB2 Web Query for System i」が発表された。従来よりも洗練されたレポートを様々なフォーマットで出力できるほか、レポートのWebブラウザによる閲覧も可能となった。さらに、有償オプションによって多次元データマイニングを可能とするOLAP機能も利用できる。IBM DB2 Web Query for System iの予定価格は33万6,000円(最小構成、税込)から。提供開始は11月16日の予定。