Ethernet Allianceは7月14日(現地時間)、次世代高速イーサネット規格に向けたPAR(Project Authorization Request)の提案を発表した。これは次世代イーサネット標準を決めるための第一歩となる作業。IEEEの標準化委員会での承認を経て、標準策定のためのTF(Task Force)が組織されることになる。今回の提案ではデータセンター用の40GbEと、広域バックボーン用の100GbEの2種類が明記されており、2009年11月をめどに、10GbEに次ぐイーサネット標準策定に向けて動き出す。
10GbEに次ぐ次世代イーサネット標準は、2006年7月に組織されたIEEE 802.3 HSSG(Higher Speed Study Group)で検討が進められてきた。PARの提案は標準化への第一歩となる作業で、無事に承認されれば2007年11月にもTFが組織され、ドラフトの検討がスタートする。標準化が順当に進めば、2009年11月にも作業が完了する予定。ネットワーク機器ベンダー各社はすでに100GbEの将来的なサポートをうたった製品をリリースし始めており、2009年にはドラフトをベースにした対応製品が登場することになるとみられる。
これまで10倍ペースで進化してきたイーサネット標準だが、40GbEでは現行の10GbEの4倍の性能向上となっており、特にデータセンターなどの高密度環境で逼迫する帯域事情に対応するソリューションとして提案が行われている。銅線と光ファイバの2種類のPHYが定義されており、到達距離は100メートルと既存環境のリプレイスを前提にしている。現行のイーサネット標準の正統進化といえる規格だ。
一方の100GbEは、10GbEで初めて定義された広域バックボーン向けのイーサネット標準を想定している。10GbEのWAN PHYでは通信事業者が拠点間接続に使うSONET OC-192(約10Gbps)に準拠していたが、100GbEでは低コストを武器にこの市場のリプレイスを狙うものとなる。到達距離は最大40キロメートルで、アグリゲーション(複数の回線を束ねること)で拠点間接続の帯域を高める用途に利用される。SONET/SDHではこれまで4倍単位で帯域を拡張しており(OC-192の前世代にあたるOC-48は約2.5Gbps)、この市場のリプレイスを狙うのであれば本来は40GbEとなるのが順当だが、近年の要求帯域急増を受け、あえて100GbEを選択したものとみられる。