ビジネス視点からみたSecond Life
Second Life(以下SL)が注目を浴びています。7月13日には日本語版の運営もスタートし、特に日本では今後ユーザー数の増加が見込まれます。日本企業も続々とSLに進出してきていますが、ではそこでどんなビジネスをやるのかについてはまだあまり明確にはなっていないというのが実情です。
本稿ではSLでのビジネスとは何かについて、海外の事例を解説することを通じて考えてみたいと思います。SLとは何か、についてはすでに他の多くの記事で取り上げられているので改めては述べませんが、ここでは筆者なりのSLの捉えかたとして、既存のWebとの比較という視点からSLの特徴をまとめておきたいと思います(注意していただきたいのは、SL=バーチャルワールドではないということです。SL以外にも多くのバーチャルワールドが存在し、SLはあくまでもその1つです。ただしここではSLを中心に話を進めるため、SLという言葉をバーチャルワールドの言い換えのように用いて述べていきます)。
(1)3Dで表現された世界である これが視覚的にみてSLの最も大きな特徴です。既存の2DWebは文字情報を主体とした世界ですが、SLは3Dオブジェクトによって構成された世界であり、より立体的な表現が可能である点が特徴です。また、コンテンツ間のリンク構造も異なります。Webは点と線によって他とリンクしているのに対して、SLは面あるいは空間を通じて他のコンテンツとつながっているからです。コンテンツ間のつながり方が緩やかで、しかも偶然性を持ったものになっています。 検索して目的のコンテンツに到達し利用するというWebの性格とは異なり、思いがけず出会う、知らなかったものを発見する、という体験をしやすいのがSLの特徴です。
(2)リアルタイムのコミュニケーションが可能 これはSkypeやMSNなどのインスタントメッセンジャーですでに可能です。しかし、SLは各ユーザーがアバターといわれる自分の分身を操作しながらコミュニケーションを行う点に特徴があります。アバターはかなり自由に容姿のカスタマイズが可能であり、見た目の違いはコミュニケーションの内容に変化を与えます。
(3)コミュニティ機能 これはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)的側面です。 コミュニケーションを行う「場」がSL内ではそれぞれ異なります。多くのユーザー間で何かのコンテンツを利用しながらコミュニケーションできる点はWeb型のSNSにはない特徴です。
(4)仮想通貨 SLではリンデンドル(L$)という仮想通貨が利用されています。これはSLにログインした瞬間から利用可能で、SL内のコンテンツをユーザー間で取引する際の媒介手段として利用されています。L$の特徴はその決済の容易さです。買いたい対象を選択してワンクリック、あるいは支払いをしたいアバターを選択してワンクリックをするだけで取引は完了します。手数料などもありません。よって、L$はマイクロペイメントの最もシンプルな形態の1つです。全世界の人が利用するマイクロペイメントのシステムとしてはPayPalに次ぐ大きな存在になっており、広く普及した簡易な決済手段としてL$の価値が今後重要になってくると考えられます。もちろん、後述するようにアメリカドルとの相互交換が可能な点も特徴です。