調査会社の米IDCは17日(現地時間)、欧州企業のビジネス責任者を対象に実施したITに対する意識調査を発表した。それによると、ビジネス責任者はITを事業運営において重要なものと見ており、ITに多くの時間を割いていることが分かった。また、CIOには満足しているという。
この調査は、IDCが欧州5カ国(英国、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア)で今年1月に実施し、「What Business Managers Want (From IT): An IDC Western European Vertical Market Survey, 2007」としてまとめたもの。従業員20人以上の企業413社のビジネス責任者に、自社ビジネスにおけるITやITマネージャについて聞いた。
「自社の事業運行のため、ITに多くの時間を割いている」と回答したビジネス責任者は64%にのぼった。ビジネスとITとのコラボレーションが多い業種ではITが事業に占める要素が高く、業種別に見ると、製造業のビジネス責任者は40%以上の時間をITに使っており、運輸/通信/公益では25%以上となった。
約70%のビジネス責任者が「ITマネージャはイノベーションを支援している」と見ており、企業の約20%が「ITマネージャは新しいビジネス戦略の開始役を担っている」と回答した。ITマネージャの役割としてはこのほか、「プロジェクト参加者」(40%)、「プロジェクトの実装者」(20%)などがあがっており、特に政府・公共機関ではITマネージャにこれらの役割を期待する傾向が強いという。新規ビジネス戦略の開発は経営幹部が行うが、すべての業種でビジネス責任者のIT知識が重要とされていることがわかった。
調査ではまた、ビジネス責任者は、従業員の生産性改善よりも、ITマネジメントの効率化(ビジネス側の要件を満たすため)を重視していることもわかった。これを評価するものさしとしては、「事業継続性」と「ユーザー(従業員と顧客)の満足」の2つを重要視しているという。
社内ITへの投資を増やすべきと考えているビジネス責任者は約60%いた。IDCはこれについて、「IT部門のリソース不足」または「ITとビジネスの連携に対する危険信号の裏返し」の両方に解釈できるとしている。
ビジネス責任者は自社CIOに満足しており、IT部門に肯定的だという。否定的なメッセージとしては、ITサポートの改善を指摘する声が多かったとしている。ITについての優先項目は業種により異なるが、ビジネス責任者は社内IT機能に高い注意を払っており、「ITベンダーは(顧客企業との)コミュニケーションとマーケティング戦略を改善する必要がある」とIDCは述べている。