2007年11月上旬にリリースが予定されている次期Fedora「Fedora 8」だが、同バージョンで実現する機能としてすでに20を越える項目が提案されている。今後のLinuxデスクトップの姿を予想するうえで興味深いリストなので主な項目をここで紹介しておきたい。

  • システム起動処理の改善 - ブートローダからグラフィカルログイン画面までの起動処理を改善し、より高速に起動できるようにするほか、表示レベルもさらにプロフェッショナルなレベルへと改善する
  • KDE 4の導入 - KDE 4のリリースが2007年10月23日に予定されていることから、Fedora 8に同バージョンを搭載。ただし、KDE 4のリリースが遅れた場合には次のFedoraまで持ち越し
  • GnomeパネルのかわりにBig Boardを導入 - 従来のデスクトップ機能は保持しつつ、さらにオンラインデスクトップを実現するためにBig Boardの導入を検討
  • Gnomeに新しいFedoraテーマを導入
  • PulseAudioの導入 - よりフィーチャーリッチなサウンド機能を実現するためのデフォルトのサウンドサーバとしてPulseAudioを導入
  • ユーザスペースにおけるデバイスバインディングの実現 - ユーザスペースでデバイスのバインディングを実現することで、よりユーザビリティの高い操作設定を実現
  • Fluendoの導入 - Fedoraではノンフリーコーデックは含めない方針だが、これではユーザにとって扱いにくいシーンも多いため、プロプライエタリコーデックのGStreamerプラグインを提供しているFluendoの導入を検討
  • Prestoの導入 - ダウンロードデータ容量の削減を目的としてPrestoを導入し、DeltaRPMでのデータダウンロードを検討
  • 仮想化のセキュリティ強化 - Xen、KVM、QEMUなどに関するセキュアリモートマネージメント機能の実現
  • TeXLive 2007の導入 - teTeXがほとんどメンテナンスされていないことから、よりアクティブなコミュニティが存在するTeXLiveをteTeXの代わりとして導入する
  • rsyslogの導入 - TCPベースのログメッセージ転送、セキュア転送、データベースバックエンドなどの要求を満たすため、将来的なリリースが見込めないsysklogdのかわりにrsyslogをデフォルトのログ収集アプリケーションとして導入
  • xfsのデフォルト動作停止 - フォントの読み込みパスを統一化してフォントサーバのデフォルト起動を停止し、システム起動の高速化をはかる
  • XULRunnerへの切り替え - Geckoエンジンを必要とするアプリケーションの依存がFirefoxになっているため、これをXULRunnerへ切り替え
  • スペルチェッカの統合 - OpenOffice.orgやFirefoxなどアプリケーションごとに別のスペルチェッカを使っているためこれを統合
  • PowerTopの導入 - 少電力化などの実現のためにPowerTopを導入
  • Bluetoothサポートの拡張 - 各種Bluetoothデバイスの追加やサポート改善
  • ノートPCサポートの改善 - サスペンド/レジュームなどノートPC動作サポートの改善
  • PAM Consoleの削除とACLへの移行

細かい点は省くとして、これらの提案内容からおおまかに方針とまとめると次のようになるだろう。GUI改善、デバイス利便性の向上、仮想化改善、ノートPC対応改善といったところが主要項目として挙げられそうだ。

  • デスクトップの改善 - KDE 4導入、Gnomeにオンラインデスクトップ機能を導入、サウンド機能改善
  • 仮想化機能サポートの改善
  • システム機能速度の改善とインタフェースの改善
  • HALをベースとしたデバイス取り扱い利便性の向上
  • ノートPCサポートの改善(レジューム、サスペンド、省電力化、BlueBooth対応)

もちろんこれらは提案段階のものであって承認されたわけではない。実際にどういった形でFedora 8がリリースされるかは今後の議論や作業の進行具合で変わってくるが、当面の方向性を見るうえではよい指針といえるだろう。

ほかの代表的なLinuxディストリビューションにはUbuntu、PCLinuxOS、OpenSUSE、MEPIS、Debianなどがある。それぞれ方向性が異なるが取り組みとしては似たようなことをしていることも多いため、今後のLinuxデスクトップの動向を探るうえでどれか1つを調べてみるというのはそれなりに効果のある方法だ。FreeBSDでも似たような取り組みが行われており、これらがUNIX系OSのデスクトップの方向性と言えそうだ。