中国互聯網絡信息中心(CNNIC)はこのほど、世界規模でのIPv4アドレス資源枯渇について声明を発表した。

CNNICはまず関連機構の最新予測結果を引用、IPv4アドレス資源が枯渇しつつある実態を明らかにした。現行のIPv4アドレス資源が2010年前後にはもれなく割り当てられることにより、IANA(Internet Assigned Number Authority)が各RIR(Regional Internet Registry: 地域インターネットレジストリ)に対して、新たにIPv4アドレスを割り当てることができなくなる。最終的にはIPv4アドレス資源が枯渇するということだ。

CNNICはこうした状況を踏まえつつ、IPv6がIPv4の代替品として国際的に認知されており、IPv6への移行が関心を集めるという認識を示し、下記の5つのキーポイントからなる声明を公表した。

  1. IPv4アドレス資源の枯渇予測が駆け込み需要と申請の増加を招き、枯渇への動きがさらに加速する可能性がある。中国は発展途上のインターネット大国として、過去数年間IPv4アドレス申請量で世界一であった。こうした状況は、今後も継続していくであろう。

  2. CNNICは、中国国内のISPがIPv4アドレス資源の枯渇という危機感からIPv4アドレス申請を減らすことを望んでいない。それはわが国におけるインターネットの発展を阻害することになりかねない。

  3. 資源枯渇に伴い、IPv4アドレスの売買が今後始まる可能性がある。こうした行為をいかなる政策や措置をもって規制できるかが、CNNICにとって大きな課題。CNNICはIPv4アドレス資源が枯渇する前に、これらの問題を解決しておくことを望んでいる。

  4. CNNICはアジア太平洋地域、とくに中国においてIPv4アドレス資源の枯渇問題に関する意識の共有を目指す。IPv4からIPv6への移行期における、IPv4アドレスの割り当てと管理に同一性、同調性を持たせつつ、わが国のインターネット発展のため、可能な限り多くのIPv4アドレス資源を確保しておくことを目指す。

  5. CNNICは技術的に可能な場合、電信キャリア、ISPが移行計画などを策定し、積極的にIPv6アドレスの申請、採用を行い、IPv4からIPv6への移行を円滑に実現するよう提唱する。これこそがIPv4アドレス資源枯渇問題に対する最終的な解決策となろう。

IPv4アドレス資源に乏しい中国は、国策としてIPv6の推進を図っている。CNNICの声明からもその主旨が読み取れる。中国の業界筋は、IPv4からIPv6への移行がこれにより加速されていくだろうとみている。