セールスフォース・ドットコムは18日、同社が展開するオンデマンドCRMアプリケーションの新バージョン「Salesforce Summer '07(以下、Summer '07)」を発表した。提供開始は8月だという。すでに開発者向けに公開中のJavaライクなプログラミング環境「Apex(エイペックス)コード」を全顧客向けに提供するもので、同社の代表取締役社長 宇陀栄次氏は「世界初の"PaaS(Platform-as-a-Service)"を基盤にした革新的プラットフォームであり、CRMに留まらない新しいアプリケーション開発が可能になる」と新製品への自信を見せる。
Summer '07は、「Winter '07」「Spring '07」に続く2007年3度目のリリースであり、同社のCRMアプリケーションとしては第23代目にあたる。さまざまな新機能が追加されている中、最大の目玉はアプリケーション開発言語「Apexコード」の全顧客への提供だ。ApexはWinter '07リリース時から開発者向けには公開されてきたが、そのフィードバックなどを反映し、今回の正式リリースとなった。同社の製品統括本部長 内田仁史氏によれば「Javaの知識がある開発者であればすぐに習得が可能」だという。
セールスフォース・ドットコム 宇陀栄次社長。最近は中小企業経営のIT化について意見を述べる機会が増えているという |
セールスフォース・ドットコム 製品統括本部長 内田仁史氏 |
Apexコードを利用することで、ユーザはローカルにプログラミング環境をいっさい用意することなく、マルチテナント環境下で100%オンデマンドなアプリケーションを開発できる。「もはやCRMにはこだわらない」と宇田社長が断言するように、業種に応じたさまざまなアプリケケーション/テンプレートが作成可能だという。また、作成したアプリケーションは、Google、Oracle、SAPといった外部のアプリケーションとでも、AjaxやSOAでもってシームレスに連携させることが可能だ。つまり「オンデマンドアプリケーションを自社のビジネス基盤により深く統合させることができる」(同社)というわけだ。
そのほか、Summer '07では以下のような新機能/特徴を備えている。
- マルチSandbox環境…トレーニング用、開発用など、本番環境と同じ環境をいくつもコピー可能
- オンデマンド インテリジェント ワークフロー…数式による複雑なトリガー条件追加→複雑なルール/プロセスが定義可能→業務プロセスの自動化の拡大
- カスタマーポータル…カスタマイズ可能な顧客用ポータルサイト
- カスタムレポート作成ウィザード…完全カスタマイズのレポートウィザード
- リッチコンテンツソリューション…HTMLを使ったソリューションを提供可能
- ユーザインタフェースの強化…Ajaxルックアップ機能を多用し、エンドユーザの使い勝手が向上
- 積み上げ集計項目…関連エンティティ項目から積み上げ計算を独自設定
Summer '07の新機能である「カスタマーポータル」は月額基本料金600円(1ユーザ/1ポータル、税別)の追加料金で利用可能。また「Apexコード」は同社のUnlimited Editionユーザに無料で提供される。その他のエディションに対しての提供時期/方法は現在のところ未定。