自然食品スーパーを北米各地に展開する米Whole Foods Marketは7月17日(現地時間)、同社CEOが株式の掲示板に匿名でライバルを中傷する書き込みを行った件について、同氏による株主への謝罪文を掲載し、内部調査を開始したと発表した。また前日16日夜には米証券取引委員会(SEC)のスタッフから接触があったことを認め、捜査に全面的に協力する方針をまとめた。
この問題は、同社共同創業者で会長兼CEOのJohn Mackey氏が1999年から2006年までの間、Yahooの株式掲示板に匿名で書き込みを続けていたというもの。その内容は自身やWhole Foodsの見解を代弁するようなものもあれば、同社が2006年2月に買収を発表した同業者の米Wild Oats Marketsについて「8ドルでも買収する価値はない」「倒産に近づいたら買い手も現れるだろう」などとライバルを中傷する書き込みを2005年ごろに行っていた例もある。その後、Whole FoodsはWild Oatsを1株あたり18.50ドルで買収することで合意したものの、独占禁止法を理由に米連邦取引委員会(FTC)が買収阻止の訴訟を起こした。
一連の問題は、このFTCによる独占禁止法調査に対してWhole Foods側が提出した書類で10日(米国時間)に明らかになったもの。当初は個人のいたずら程度の認識だったMackey氏とWhole Foodsだが、SECが株式市場への影響を考慮して調査を開始するなど事態が大事に発展し、改めて事の重大さを認識。今回の謝罪文の発表と内部での調査委員会の設置、SECへの全面協力となった。
Mackey氏は17日の声明の中で「オンライン金融掲示板への匿名参加で判断ミスを犯した件について、すべての株主に対して真摯に謝罪し、許しを請いたい」と謝意を述べているものの、一度犯したミスは簡単には取り消せない。Whole Foodsは「オーガニック」をキーワードに高級志向やエコロジーを売り物にしたスーパーであり、今回の件は企業イメージ失墜とともに、Wild Oats買収や今後のビジネスに悪影響を及ぼす可能性がある。インターネットは誰でも参加できる便利な道具だが、使い方ひとつで大きな授業料を支払う結果にもなりかねない諸刃の剣であることを示した好例といえる。