既報のとおり、米Oracleは11日(現地時間)、同社のRDBMSの最新バージョンとなる「Oracle Database 11g」を発表した。"g"は前バージョンである10gと同様に"GRID"の意味であり、基本的なコンセプトに変更はないが、400以上の機能が実装され、延べ1500万時間に及ぶテスト、延べ3万6000人月に及ぶ開発作業を経て完成したものだという。

RDBMSはエンタープライズ・コンピューティングを支える基盤として既に成熟の域に達していると見られており、11gにも驚くような画期的な新機能というものは見あたらないが、ITインフラや業務アプリケーションの迅速な変更に対応し、安定性を確保し、可用性を高め、運用コストを低減する、といった普遍的な課題に対応するための各種機能のブラッシュアップが行なわれている。内容面では10g R3としてリリースされたとしても違和感はなかったという感もあるが、4年ぶりの"メジャー・リリース"として発表された。

数々の新機能/機能拡張の中から特に強調されたのは、"Real Application Testing"だ。これは、アプリケーションのテストプロセスを自動化し、本番環境でのテストを支援する機能群となる。たとえば、"Database Replay"では、本番システムのワークロードをデータベース・レベルでキャプチャして保存し、別のシステム上で再現することができる。文字通り、本番データベースへのアクセスのリプレイ機能であり、これを使ってテストシステムのパフォーマンスの確認等が可能になる。本番同様の負荷を掛けるためのテストプログラムの開発に掛けていた負担がほぼゼロになるため、開発の迅速化に繋がる。

また、冗長化データベースを実現する"Oracle Data Guard"の機能強化が行なわれている。従来は、Active/Stand-by構成のみのサポートだったが、新たにActive/Active構成も可能になった。従来は完全な予備として置いておくだけだったシステムを、本番環境のコピーとして扱うことが出来るようになり、これを利用したオンライン・アップデートなども可能になった。つまり、予備機をまずアップデートして問題がないことを確認したら予備機と本番機の役割を入れ替えるといった、従来はRAC(Real Application Cluster)で実現されていた機能と同様の使い方が可能になるという。

なお、現時点でリリース予定が公表されているのはLinux版で、8月に出荷開始される予定。その他のOSプラットフォームに関しては、改めてリリース予定が発表されるという。また、エディション構成や価格に関しては10gとほぼ同じという。