NECは12日、奈良県生駒市のNEC関西研究所内に「C&Cイノベーション研究所」を設立、開所式を開催した。同研究所は、今後30年先を見据えた将来の情報通信システムの研究を行う。国内外の大学や研究機関、異業種などと連携を行うグローバルなオープンイノベーション型の研究開発を推進しており、当初は約20機関との連携を目指している。
将来の情報通信システムの実現を目指した当面の研究テーマは、世界中に散らばった個々の知恵やひらめきを結集/増幅/発展させて新しいイノベーションを創出する「知識コンピューティング」と、時間や空間の制約を受けず、言葉や文化の違いの壁を越えて、自分の感情や体験も伝えて心通じ合うことができる「こころコミュニケーション」の原理探求や活用システムの探索、としている。
同社は、同研究所を国内外の幅広い諸機関との共創の場と位置づけ、研究環境を整備した。特徴は以下の5つ。
オープンかつセキュアな研究環境の整備
オープンな研究フロア、ハイビジョンカメラ/テレビによる高精細遠隔研究室、ネットワークを介してリアルタイムに議論できる環境を備えたオープンラボを設置。内外の研究者が気軽に入室し、すぐ共同研究できる環境を整備した。
情報管理は、データを端末に格納せずにサーバで集中管理することで情報漏えいを防ぐシンクライアントシステムを採用。RFIDを活用したパソコンや書籍、資料の管理により、万全なセキュリティ体制も構築している。
イノベーション創出プロセスの分析のための知的活動の記録/解析システムの構築
研究所内の映像や音声、人の移動や接触、書籍や文献の参照履歴、パソコン操作履歴、ホワイトボードに書かれた内容等のデータベースを自動的に構築するシステムを導入。以前に考えたことや知的活動の履歴を簡単に再確認し、更なる発想を支援する仕組みを提供。さらに、人と人・人とモノの接触とイノベーション創出との関係の発見や知的活動のプロセスの解明に活用する。
創造力刺激実験場「ひらめきの径(みち)」をコミュニケーションツールとして採用
「ひらめきのふとした「ひらめき」や「おもいつき」を人に伝えることで、そのアイディアを大きく発展させ、イノベーションの創出につなげていくもの。思いついた時点では連絡が取れない研究者間との共創も促進できる。
世界のみんなで創造する仕組みWiki型オープン共創基盤の開発
世界に散らばる知識を集約し、まとめ上げるための共創基盤を開発。ひとつのシナリオを、専門家から子供まで幅広い人が参加して作成することができるため、異分野の得意領域を効率的に活用し、インターネット上で多様な共創を促進するツール。
Web上のさまざまな情報から、因果関係を自動抽出できるエンジンの開発
WEB上のテキスト情報から人物の関係を抽出し、人脈情報として表示するシステムを開発。異分野のキーマンを探索し、仲間に勧誘できる。