既報のとおり、サン・マイクロシステムズは、「Sun Blade 6000 モジューラ・システム」を発売、8月下旬に出荷を開始することを発表した。本稿では、サン・マイクロシステムズ 社長/マーケティング統括本部長らの話を交えながら、同製品の詳細をお伝えしよう。
Sun Blade 6000 モジューラ・システムは、インテル Xeonプロセッサ、AMD Opteronプロセッサ、UltraSPARC T1プロセッサの、3種の異なるCPUを搭載したブレードを同時に使用することができるエンタープライズ向けブレード型サーバである。OSは、Solaris、Windows、Linuxなどに対応、既存のSun Fireサーバ・ファミリと同一の管理フレームワークの採用などのより、ラックマウント型のシステムと同じように利用することが可能だ。
同製品は、電源、冷却装置、I/Oモジュールを格納する「Sun Blade 6000 シャーシ」と、インテル Xeonプロセッサを搭載する「Sun Blade X6250サーバ・モジュール」、AMD Opteronプロセッサを搭載する「Sun Blade X6220 サーバ・モジュール」、およびUltraSPARC T1プロセッサを搭載する「Sun Blade T6300 サーバ・モジュール」の3種類のブレードで構成されている。
「Sun Blade 6000 シャーシ」は、ラックユニットが10Uで、10枚のサーバ・モジュール、冗長構成の電源装置と冷却ファン、I/Oモジュールを格納できる。一般的な高さ42RUのラックには最大4台の「Sun Blade 6000 シャーシ」を設置でき、合計40枚のサーバ・モジュールを収容することが可能だ。電源装置や冷却機構を複数のサーバで共有することにより、エネルギー効率を向上させるとともに、部品点数も削減されており、既存の「Sun Fire X4100 M2サーバ(1RUサーバ)」10台と比較すると、電源装置および冷却ファンの数はそれぞれ1/10となっている。各モジュールはすべてシャーシの動作中であっても交換、追加が可能。
「Sun Blade X6250 サーバ・モジュール」は、1~2個のクアッドコアまたはデュアルコア インテルXeonプロセッサ5100番台を搭載、2007年1月に発表された、サンとインテルとの戦略提携に基づいた最初の製品となる。「Sun Blade X6220 サーバ・モジュール」は、2個のデュアルコアAMD Opteronプロセッサと最大64GBのメモリを搭載する。両者とも、メモリは最大64GBまで搭載可能で、OSは「Solaris 10 OS」、「Linux」、「Microsoft Windows Server」、「VMware ESX Server」が動作する。「Sun Blade T6300 サーバ・モジュール」は「Solaris 10 OS」に対応、UltraSPARC T1プロセッサを1個搭載、搭載メモリは最大32GBだ。いずれも、RAID構成が可能なホットプラグ対応ハードディスクドライブを最大4台内蔵可能だ。
また、次の仕様を、これら3つのモジュールは共通に備えている。I/Oとして2つのGigabit Ethernetと4つのPCI Expressリンクを標準装備し、このうち2本のPCI Expressリンクは、PCI Express Moduleを使用しており、Gigabit Ethernet、Fibre Channel、Infinibandなどのインタフェースを、必要に応じて追加することができる。
さらに、リモート管理を実現するサービスプロセッサを標準搭載しており、システムの起動から設定、停止までの運用プロセスを完全にリモートで実行する。サービスプロセッサも含めた利用手順やツール、システム管理フレームワークは、ラックマウント型のSun Fireサーバ・ファミリと同一であり、ブレード型システム専用の規格は特に必要ではなく、既存のインフラを変更しなくても、「Sun Blade 6000 モジューラ・システム」を利用できるという。
サンの九里禎久 マーケティング統括本部長は「今回の製品は、電源/冷却装置を収納するスペースの問題で、大容量メモリを搭載できなかったが。電源容量を小さくして、冷却ファンも大きく削減し、大容量メモリを実現、I/O性能も飛躍的に向上させており、これまでのボトルネックを解消した。アーキテクチャーはオープンで、顧客側が複数のOSのなかから選択できる」と指摘、「ブレードサーバーながら、従来のラックマウント型と同等の性能がある」と話す。
同社の末次朝彦社長は「Sun Blade 6000 モジューラ・システムは汎用性、拡張性に優れ、かつてのブレードサーバーのように、特定の目的に縛られない、可用性の高い製品」と述べている。同社では、「Sun Blade 6000 モジューラ・システム」は、金融、製造、生命科学などのHPC(High Performance Computing)をはじめ、ERP、CRM、データベースなどの企業向けビジネスアプリケーション、サービスプロバイダーなどインターネットインフラといった用途を想定、「ほとんど、すべての分野で使える」(九里氏)と考えており、「ブレードサーバーの市場は、年間2万5,000台とみているが、1年でその5%程度はとりたい」(同)としている。
同社は「Sun Blade 6000 モジューラ・システム」では「価格競争に持ち込む気はまったくない」(同社マーケティング統括本部 的場謙一郎 専任部長)考えで、3種の異プロセッサ混在、柔軟性、大容量メモリなどの特色は、IBM、HPなど競合各社の低価格性に対抗できる要因であるとみている。「これまでに多数のラックマウントサーバーを設置し、統合したいと望んでいる企業や、テレコム系の企業」向けの浸透を図る。