The Dojo Foundationは3日(米国時間)、The Dojo Toolkitの開発最新版となる「Dojo Toolkit 0.9beta」を公開した。同リリースは依然としてβの位置づけにあり変更の過渡期にあるわけだが、なかなかいい出来に仕上ってきているようだ。まだ長所も短所も抱えているが、アドバンスドデベロッパには0.9の採用へむけて調査を開始しても良い時期に入ったと言えそうだ。

現在のDojoの安定版バージョンは0.4.x系。現在開発が進められている0.9.x系は0.4.x系の経験をもとに新しく開発されたブランチで、次期Dojoメジャーバージョンになるとみられている。0.9.x系からはそのまま1.0へのリリースへ向けて開発作業が行われることになる。向こう数週間で0.9.x系に採用される機能が取捨選択されるようだが、現在のところ次のような特徴があるとされている。

  • 実行速度の大幅な改善 - 0.9.xでは重複コードの削除や後方互換性コードの削除を実施することでコアコンポーネント(dojo.js)の動作速度が改善されている。拡張ポイントを設けることでコアコンポーネント自体は軽量を保つ方針で開発され直されており、現状では圧縮された状態で24KB未満を維持している。ウィジェットシステムコンポーネント(dijit.js)も軽量化されている
  • テーマへの対応 - ウィジェットシステムコンポーネントにおいてカスタマイズ可能なテーマ機能が実装されている。デフォルトのテーマはTundraだが、テーマはCSSをベースにして作成されており、ユーザが自らのテーマを作成して活用できるようになっている。テーマはページごと、ノードごと、ウィジェットごとといった単位で適用可能
  • アクセシビリティの向上 - キーボードナビゲーションはもちろんのこと、スクリーンリーダへの対応やハイコントラストモードでの動作をサポートする機能を実装。すでにかなりの部分の実装が完了している
  • Dojo APIなどのドキュメントの強化

現在公開されている0.9betaはβ版であるため、1.0へ向かう間でAPIの変更も実施されるとみられている。DojoはWebアプリケーションを開発するためのフルフィーチャーAjaxフレームワーク。軽量のJavaScript Ajaxフレームワークと異なり、多くの機能を包括的に提供しているという特徴がある。興味があるアドバンスドデベロッパは今回公開された0.9betaから調査に取りかかった方がよいだろう。