ロシアの音楽ダウンロードサイト「Allofmp3.com」が閉鎖されたようだ。ここ数日アクセスできない状態が続いていると複数のメディアが報じている。同サービスを巡っては、複数のレコード業界団体から知的所有権侵害訴訟が起きており、米国政府もサービス停止を求めていた。運営者のMediaServicesはサービス停止について公式に発表していないが、新たに「Mp3sparks.com」を立ち上げている。

Allofmp3.comは、ロシアのMediaServicesが運営する音楽ダウンロードサイト。最大手であるiTunes Storeの10分の1程度という価格、幅広い楽曲ラインナップ、世界のどこからでも購入できるという特徴を持ち、同社は"世界第2位の音楽ダウンロードサイト"と称していた。

だが、昨年より知的所有権問題が持ち上がっていた。Arista Records、Warner Bros.などのレコードレーベルが集団訴訟を起こしており、米通商代表部もサービス停止を要求していた。また、同サイトでの利用を停止したクレジットカード会社もあったようだ。

これに対し、MediaServicesは、Allofmp3はROMS (Russian Multimedia & Internet Society)などロシアの法の下では合法としていた。だが、2006年11月にはロシア政府が米国政府とサイト閉鎖で合意している。今回の閉鎖はこれと関係があるかどうかは不明だが、時を同じくして、7月1日、米ブッシュ大統領と露プーチン大統領が米国で会談している。

ロシアは知的所有権に関する業界団体であるInternational Intellectual Property Alliance (IIPA)の報告書でも、特別監視対象「Priority Watch List」に指定されるなど、海賊版や不正コピーなどの違法行為が問題になっている。中でも、Allofmp3.comはロシアの不透明な著作権管理の代表例と見られており、同国の世界貿易機関(WTO)加盟の妨げになっているといわれていた。

現在、Allofmp3.comのロシア版(allofmp3.ru)にアクセスすると、「メンテナンスのため閉鎖中」というメッセージが表示される。

その一方で、MediaServicesは新たに、音楽ダウンロードサイトのMp3sparks.comを立ち上げている。Mp3sparksはAllofmp3と似た外観で、コンタクト先にはモスクワのアドレスがある。合法性に関する情報をみると、ロシアの著作権法に遵守しており、ユーザーは自国の法律を確認するように、としている。サービス内容もほとんど同じで、Bon Joviの最新アルバム「Lost Highway」は2.11ドルと、Allofmp3と同じような価格帯になっている。