サイオステクノロジーは4日、オープンソースのプロジェクト管理Webアプリケーションソフトウェア「ProjectKeeper(プロジェクトキーパー)」のベータ版を公開した。ProjectKeeperは、ソフトウェア開発プロジェクトにおける工程やスケジュール、要員、進捗状況等の管理や帳票出力機能を備えた、Webベースのアプリケーション。サイオステクノロジーではこれをApache Licenseに基づいてオープンソースソフトウェア(以下、OSS)として提供する。
サイオステクノロジー 代表取締役社長の喜多伸夫氏 |
同社代表取締役社長の喜多伸夫氏によると、現在、プロジェクト管理用のソフトウェアとして最も広く利用されているのが表計算ソフトウェアやWeb対応でないクライアント版のプロジェクト管理アプリケーションだという。もちろんWebに対応したプロジェクト管理ソフトウェアもあるが、その多くはライセンス料金が高く、コストが嵩む。
サイオステクノロジーがリリースしたProjectKeeperはWeb対応のプロジェクト管理ソフトウェアであり、OSSとして配布されるため利用するのに一切のコストがかからない。その上、ソースコードの改変が許可されているため、ユーザは利用環境に合わせて自由にソフトウェアのカスタマイズを行うことができる。サイオステクノロジーでは、同製品を主に次のようなユーザをターゲットとして普及させたいとしている。
- 手軽にWebベースのプロジェクト管理ソフトウェアを導入したい
- クライアントベースのソフトウェアからWebベースのソフトウェアに移行したい
サイオステクノロジー 販売促進部プロダクトマーケティンググループ 宮崎哲明氏 |
近年ではエンタープライズアプリケーションが大規模化/複雑化しており、その開発プロジェクトを管理するにはWebベースのアプリケーションが不可欠になる。クライアントベースのソフトウェアによってプロジェクトの進捗状況を管理する場合、マネージャーがメンバーから情報を収集してソフトウェアに入力し、一通りの情報が揃った時点で全体に配布するというのが一般的な流れになる。しかし、この方法では以下のような問題があると同社販売促進部プロダクトマーケティンググループの宮崎哲明氏は指摘する。
- 情報の収集から配布までのタイムラグがあるため、リアルタイムでの情報共有ができない
- マネージャーの作業負担が大きい
- メンバーの稼働状況が案件毎に管理されるため、複数案件を抱えるメンバーが管理しづらい
- 情報が分散するためセキュリティー管理が煩雑になる
- 情報へのアクセス権限を一元管理できない
ProjectKeeperではプロジェクトの進捗状況をWeb上で一元管理するため、上記のような問題を全てクリアすることができるという。同製品によって提供される主な機能を以下に挙げる。
- プロジェクトのスケジュール管理
- プロジェクトの実績入力
- ユーザ毎にカスタマイズ可能なダッシュボード
- グラフの作成
- 帳票の作成
- マスターメンテナンス機能
ProjectKeeperでは"誰もが使いこなせること"を最も重要なコンセプトとしている。そのために余分な機能を排除してプロジェクト管理に必要な機能のみを絞り込んで実装したという。もちろん、OSSなので必要な機能があれば独自に拡張することも可能だ。
ProjectKeeperのアーキテクチャは、同社が提供しているWebシステム構築ソリュ-ション「Ninja VA」の上にProjectKeeper用のフレームワークをラップする構成になっているという。製品ではこれも合わせて提供されるため、フレームワークベースでの手軽なカスタマイズも可能となる。
ProjectKeeperはサイオステクノロジーのサイトにあるダウンロードページにて配布されている。現在公開されているのはベータ版であり、正式版は8月にリリース予定だという。ダウンロードパッケージには実行モジュール、ソースコード、ユーザガイド、リリースノート、そしてインストーラが含まれる。ただし、同製品を利用するには別途アプリケーションサーバとDBMSを用意する必要がある。
ベータ版の場合、アプリケーションサーバはWebSphere Application Server Community Edition (WAS-CE)、DBMSはDB2 Express-Cをサポートしている。正式版ではApache TomcatやPostgreSQLなど、他のOSSミドルウェアにも対応する予定だという。
その他、正式版においてはサブスクリプション形式での有償サポートプログラムも用意される。このプログラムでは導入や設定、ソースコードの改変等に対するメールでのQ&Aサービスや、必要に応じたパッチなどの提供サービスが受けられる。料金は50ユーザまでが年間60万円、50ユーザを超える場合には10ユーザ当たり年間9万9千円となる見込み。