中小企業向けにビジネススイート製品をSaaS形態で提供する米NetSuiteは7月2日(現地時間)、米証券取引委員会(SEC)に株式公開(IPO)の申請を行ったと発表した。IPOの主幹事は米Credit Suisse Securitiesが担当する。公開株数や価格帯については現時点で未定。同種の事業者としては、2004年半ばに米Salesforce.comがIPOを行っている。
NetSuiteは1998年設立の企業で、米カリフォルニア州サンマテオに拠点を持つ。中小企業の基幹業務やCRMを支援するビジネス・アプリケーション・スイートのNetSuiteを主力製品とする。以前までの社名はNetLedgerで、2003年に主力製品のバージョンアップに合わせる形で現在の名称に変更されている。米Hooverの情報によれば、2006年度の売上は6720万ドルで、年間成長率は約85%。従業員数は現在約500人で急成長を続けているものの、同年度の純利益は2340万ドルの赤字となる。米Oracle CEOのLarry Ellison氏が同社株式の半数以上を所有している。
前出のSalesforce.comの成功もあり、SaaS市場は世界で急激に拡大を続けている。当初は中小企業が主力ターゲットとみられていた同分野だが、現在では企業規模の大小を問わずに広く受け入れられ始めている。2006年11月には旧PeopleSoft創業者のDave Duffield氏が、ヒューマンリソースマネジメント(HRM:人事管理)をSaaS形態で提供する「Workday」の立ち上げを発表している。SAPやOracleといった大手も続々と本格参入を続けており、今後のさらなる成長が期待される。だが急成長と同時に、すでに競争の激化が始まりつつあり、既存のパイを奪い合う様子も散見されつつある。こうしたなかでNetSuiteのIPOが投資家にどのように受け入れられるのか、市場の動向を占ううえでも注目だといえる。