The jQuery projectは1日(米国時間)、jQueryの最新版となる「jQuery 1.1.3」を公開した。jQueryはJavaScriptで開発された軽量なAjaxフレームワーク。動作が高速でサイズも小さいという特徴がある。同フレームワークはGNU GENERAL PUBLIC LICENSE Version 2およびThe MIT Licenseのデュアルライセンスのもとで提供されている。

1.1.3は数ヶ月に渡る開発と試験の結果公開されたリリースで、80を越えるバグが修正されているほか、いくつかの機能拡張が実施されている。1.1.3における主な特徴は次のとおり。

  • 処理速度の改善: 1.1.2と比較してDOMデータの走査に関する処理速度は8倍以上の高速化
  • Unicode Selectorの導入: セレクタにおいてUnicodeによる表記をそのまま属性値として使用できるように改善
  • Escape Selecotrの導入: セレクタにおいてエスケープ指定をサポート
  • イベントシステムの書き替え: キーボードイベントのより優れたハンドリングを実現
  • エフェクトシステムの書き替え: クロスプラットフォーム性の向上、実行速度の改善
  • より高速によりスムーズに動作するようにアニメーション処理を改善

セレクタエンジンに対して変更を加えることで実施された実行速度の向上は、Webブラウザごとに差はあるものの、IE 6、Firefox 2、Safari 2、Opera 9.1のどのブラウザにおいてもSlickSpeedテストスィートを使ったベンチマークで7倍から10倍近い平均処理速度の向上が実現されている。成果物は圧縮された配布状態で20KBほど、圧縮されていない状態で61KB、ドキュメントも含んだ状態で260KBほど。

1.1系の最終リリースは2007年7月末にリリースが予定されている1.1.4。次期メジャーリリースとなる1.2系では大幅な機能追加が実施される見通し。1.2系の機能はすでにロードマップのページにおいて公開されているため、興味があるデベロッパは調査してみるといいだろう。

1.1系の初リリースとなるjQuery 1.1は2007年1月14日(米国時間)に公開されたもので、1.0と互換性がなくなっているものの処理速度の大幅な向上、APIの系統だった整備の実施などで注目された。1.1.3ではさらに処理速度が改善されているうえにWebブラウザ互換性の向上、バグの修正などが実現されている。1.1系を扱っているデベロッパは1.1.3へのアップグレードを検討されたい。