Free Software Foundationは29日(米国時間)、フリーソフトウェアライセンスの改訂版「The GNU General Public License Version 3(GPLv3)」を正式にリリースした。GPLの大改訂は、1991年6月にリリースされた第2版「GPLv2」以来約16年ぶり。

GPLv3は、約1年半にわたり法曹関係者やコミュニティを交えた議論を重ね、4回の草案作成を経て完成。ソフトウェア特許を主張する組織がフリーソフトウェアを使用する権利を失うという、いわゆる特許報復条項が盛り込まれたほか、懸案だったApache Licenseとの互換性の実現により、広範囲でのコードの共有が可能になった。

GPLv3のリリースにあたり、Free Software Foundationの創始者であるRichard Stallman氏は、「23年以上前に我々がフリーソフトウェア運動を開始して以来、フリーソフトウェアコミュニティはユーザの自由を尊重する膨大な数のプログラムを開発してきた。プログラムはGNU/Linuxオペレーティングシステムのほか、パーソナルコンピュータや電話、インターネットサーバなど多くの製品で活用されている。これらのプログラムの大半はGNU GPLを採用することで、動作や学習、改良や機能向上、そしてプログラムの再頒布という自由をすべてのユーザに保証している」とのコメントを寄せた。

GPLは、プログラムの使用条件や複製物の扱いなどを定めたソフトウェアライセンス。GPLが適用されるソフトウェアには改変と再頒布の自由が認められる一方、ソースコードの開示などGPLが定める使用許諾に従う義務を負う。GPL準拠のソースコードを改変して開発した、いわゆる派生的著作物についても同じ制約が課されるため、BSDやApacheなど他のオープンソースソフトウェアライセンスに比べ制約が厳しいとされる。プログラムを自由に使う権利を守るために著作権を放棄しない「コピーレフト」の概念は、他のオープンソースソフトウェアライセンスにも大きな影響を与えている。