欧州連合(EU)は25日(現地時間)、ベルギー・ブリュッセルで開催したEUサミットにて、欧州の研究機関「European Institute of Technology (EIT)」の設立案に加盟国レベルで合意したことを発表した。今後、欧州議会などの承認を得る必要があるが、早ければ2008年にも立ち上げとなる見通しという。

EITは、欧州の大学、研究開発機関、企業が共同で先進技術の開発を進める場として、欧州委員会(EC)が2006年10月に提案した構想。すでに、ECはEITに3億870万ユーロを投資することを明らかにしている。欧州最高レベルの研究施設を目指しており、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)対抗ともいわれている。

EUは先進的な研究開発、イノベーションによる国際競争力強化を図っており、EITはそれを実現するものと位置づけられている。各国の大学、高等教育、研究所が集まることで、イノベーションを促進し、スピードと効果を上げることを目指す。研究開発の強化だけではなく、企業を取り込むことで、得られた成果を迅速にビジネスにつなげる場所としての役割も担う。これらはすべて、EUが2005年に発表した最新のデジタル化計画「i2010」が目指すものだ。EITを支持する欧州委員会(EC)の委員長、Jose Manuel Barroso氏は、「EITは、結果を出す欧州をさらに加速することだろう。これにより、雇用促進と経済成長を長期的に促すことができるだろう」と述べている。

ECによると、EITはEUの産学連携構想「Knowledge and Innovation Communities (KICs)」をベースとし、小さな統治組織を持つ研究施設となるという。KICはそれぞれの分野で活動計画を立て、研究開発とビジネス化をスムーズに進める。最初のKICとしては、地球温暖化、再生可能エネルギーなどの分野を検討しているという。企業の参加は重要な要素となり、戦略立案、運行とあらゆるレベルで企業がEIT運営にかかわるような構造にするという。

今回、競争力会議(Competitiveness Council)での合意を得ており、今後は今年9月の欧州議会、その後の閣僚評議会で審議にかけられる。これらのステップで承認を得た後、役員会にあたるEIT Governing Boardを任命し、組織構造やオフィスを立ち上げる。早ければ2008年にも運行を開始できるという。