KDDIソリューション事業統轄本部長の田中孝司氏(右)とマイクロソフト代表執行役COOの樋口泰行氏

KDDIとマイクロソフトは27日、KDDIの通信網とWindowsプラットフォームを利用した企業向けSaaS型アプリケーションサービスの推進で、両社が包括的な提携を結んだと発表した。今年10月に具体的な提供内容の発表を行う予定で、それに向けて同日より両社共同でマーケティング活動を開始する。

さまざまなソフトウェアの機能をネットワーク経由で提供する、SaaS(Software as a Service)型のアプリケーションサービスを両社で共同推進する。サービス提供基盤としてはマイクロソフトの「CSF(Connected Services Framework)」を利用。認証や課金・決済の共通基盤を提供し、ネットワークにはKDDIの携帯電話網および固定回線を用いることで、ユーザーはデバイスを選ばすどこからでもサービスを利用可能で、通信とサービスにかかる利用料金は一括して支払うことができる。

具体的なサービスのイメージとしては、マイクロソフトのOutlookでサポートされるメール機能やスケジューラ機能がau携帯電話上で利用可能になる、au携帯電話のメール機能で会社のメールアドレスによる送受信が可能になる、といったものが挙げられている。また、各アプリケーションがサービス提供基盤を通じて、KDDIが提供するGPS位置情報にアクセスするといったこともでき、KDDI、マイクロソフトと両社のパートナー企業によって、多彩な業務アプリケーションが供給されることが期待される。

Outlookとau携帯電話の連携サービスを提供する。時期は2008年3月を予定

両社がSaaS型サービスの提供基盤を用意し、パートナー企業によるサービス開発の活性化をねらう

CRM(顧客管理)、営業支援、財務/会計といったアプリケーションを順次揃え、統一ブランドを冠したサービスメニューとして10月に再発表する予定。SaaS型アプリケーションサービスの特長を生かし、自社で大規模な業務システムを所有するには負担の大きい中小・中堅企業向けサービスを中心に、月額料金モデルで提供する。

同日開催されたKDDIとマイクロソフトの共同記者会見で、KDDI取締役執行役員常務でソリューション事業統轄本部長の田中孝司氏は、同社は従来よりFMC(固定通信と移動体通信の融合)に取り組むことでワンストップの通信サービス提供を目指してきたが、今回のマイクロソフトとの提携はこの考え方をさらに拡大した形で、通信サービスとアプリケーションサービスをワンストップで提供するものになると説明。固定とモバイルの両方を一社で扱う国内唯一の通信事業者だからこそできる取り組みであり、KDDIは「ICTを提供するオールラウンドプレイヤーでありたい」(同氏)と話した。

マイクロソフト代表執行役COOの樋口泰行氏は、同社はソフトウェアの力で社員のポテンシャルを引き出し企業の経営力とする「People-Readyビジネス」を法人向け戦略の基本としており、アプリケーションの分野に意欲的でなおかつ固定網・移動網の両方を持つKDDIは理想的なパートナーだったと強調。今回の提携を、日本のSaaS市場全体の拡大に寄与するものにしたいとしている。