シマンテックは25日、バックアップ/リカバリ・ソフトウェアの新製品となる「Veritas NetBackup PureDisk」を発表した。発売は8月上旬の予定で、参考ライセンス価格は135万円から。

Veritas NetBackup PureDiskは、名称通り同社のエンタープライズ向けバックアップソフトウェアであるNetBackup製品群に含まれる最新製品と位置づけられる。ディスク・トゥ・ディスクでバックアップすることに主眼を置いた製品で、データの重複を排除する機能を実装し、ストレージ容量を大幅に削減できる点が特徴となる。

記者発表会の冒頭で挨拶した同社の製品統括本部 執行役員 統括本部長の足立修氏は、ストレージの容量増加は毎年60%で、典型的なストレージ利用率は27%、企業や政府機関における重複データによる容量増加はおよそ50~500倍に達する、といったデータを紹介し、データの重複排除機能を持つNetBackup PureDiskのメリットを強調した。

続いて製品説明を行なった同社のマーケティング本部 プロダクトマーケティング部 リージョナルプロダクトマーケティングマネージャーの浅野百絵果氏は、「現在のバックアップツールには、さまざまなバックアップ手法に柔軟に対応し、統合的に管理できる機能が求められている」とし、さまざまな技術を包括するNetBackup製品群の優位性を示した。また、ディスクベース・バックアップの技術の進化がさらなるバックアップ手法の多様化に繋がっているのと同時に、ディスクベース・バックアップの信頼性が向上し、RPO/RTOの短縮が実現したことを明らかにした。

シマンテック 製品統括本部 執行役員 統括本部長 足立修氏

シマンテック マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 リージョナルプロダクトマーケティングマネージャー 浅野百絵果氏

データの重複排除

PureDiskの中核的な特徴と位置づけられるのが、重複データの排除機能だ。PureDiskでの同機能の実装上の特徴は、「グローバルな重複排除」「ソース側での重複排除」の2点となる。

「グローバル」とは、複数拠点のデータにまたがって重複排除が可能になるという意味だ。PureDiskでは、中核に「ストレージ・プール」を置き、バックアップを一元管理するのが基本となる。このストレージ・プールに対して遠隔拠点からPureDiskのエージェントを利用してバックアップを行なう場合、ストレージ・プールに既にバックアップ済みのデータは転送されない。このため、拠点間接続のネットワーク帯域を無駄に消費することがなくなる。中規模拠点などでは、ローカルにストレージ・プールを設置して運用し、中央のストレージ・プールにレプリケーション(複製)を送る、という運用も可能だ。

また、「ローカル」とは、バックアップを実行するエージェント側で重複排除を行なうという意味だ。前述のように、ストレージ・プールにデータを送った後、ストレージ・プール上で重複データを削除するのではなく、データ転送前にストレージ・プール上に存在しないデータかどうかをローカルでチェックし、重複が確認できたデータは転送しない。この実装方法では、無駄なデータをネットワークに流すことがなくなり、ネットワーク帯域の節約が実現する。反面、ローカルでチェックのための負荷が掛かるが、これは裏腹の関係になるため致し方のないところだ。

NetBackup PureDiskの機能

重複データの排除

グローバルな重複排除: 初期バックアップ

グローバルな重複排除: 増分

バックアップ・データは、実データを一定サイズのブロックに分割した形で記憶する「コンテンツ・ルータ」と、ブロックの情報を保持するための「メタベースサーバー+エンジン」の組み合わせで管理される。バックアップ対象となるファイルごとにメタ情報が作られ、さらにファイルに含まれるブロックのメタ情報(一種のハッシュ値だという)が保存されている。ローカルのエージェントは、ローカルで生成したメタ情報をストレージ・プール側のメタ情報と比較し、同一の場合は改めてブロックの実データを転送することはしない、というのが基本的な動作となる。ファイルを構成する複数のブロックのうちの一部にだけ変更が行なわれた場合は、変更されたブロックの実データだけが転送され、複数のファイルに同一内容のブロックが含まれる場合は、1つの実データが複数のメタデータから参照される(グローバル)ということになる。

PureDiskのコンポーネント

今回、日本市場に投入されたPureDiskはバージョン6.2だが、米国では以前のバージョンが発売されており、その実績ではさまざまな業界で97%を越える重複排除率(PureDiskが重複データだと判断するデータの割合)が達成されているという。この結果、たとえば官公庁での例では、元データ714.04GBに対し、日次バックアップで実際にストレージ・プールに転送されたデータ量は1.50GBに留まるといった実績が報告されているという。

ストレージが抱える問題

日次でのデータ削減効果

PureDiskとNetBackupの組み合わせでは、現在はPureDiskのストレージ・プールのデータをNetBackupを介してテープにバックアップし、長期保存を行なうことができる。次バージョンとなる6.5では、NetBackupのバックアップ先メディアとしてPureDiskのストレージ・プールを直接指定することにも対応する計画だという。