ITビジネス、とくにB2B市場の主役がオンラインビジネスであると、世間ではよく言われる。しかし、中国のB2B市場の主役が、意外にもオフラインビジネスであるとの実態が、このほど易観国際が公表した「中国B2B市場白書」により明らかにされた。
同白書によると、2006年の中国B2B市場の売上総額は73億元に達しているが、B2Bポータルサイトのオンラインビジネスの売上が18億元で、売上総額の25%。展示会、業界情報出版などオフラインビジネスの売上が55億元で、売上総額の75%を占めている。B2B市場の成長は依然として好調で、売上総額が2007年には93億元に達し、前年度比で27%増になると、易観国際は予測している。
B2Bポータルサイト、展示会、業界情報出版など各種業務プラットフォームにはそれぞれのアドバンテージと限界があるため、オンラインサービスとオフラインサービスを同時に提供することは、ユーザーの差別化したニーズに細かく対応できるだけでなく、サービス内容のバランスも取りやすくなると、易観国際は分析している。
中国のB2B市場の構造をみると、国際ビジネスの売上が51億元(売上総額に占めるシェアが70%)、国内ビジネスの売上は21億元(同29%)となっており、国際ビジネスがB2B市場成長の牽引役になっていることが分かる。
中国企業の国際ビジネスと国内ビジネスにおける競争力の源泉が、これまでの単なる価格競争から、より総合的なものへと切り替わってきている今、ユーザーのB2Bサービスに対するコアニーズも情報の取得から、総合競争力の増強へと移行している。こうした背景の下、価格はもはやユーザーがB2Bサービスを選択する際の決定的な要素ではなくなった。
B2Bサービスのサプライヤーは、今後、独自のイノベーション力を生かしながら、独特の付加価値を提供しなければ今後の競争で淘汰されかねないと、易観国際はみている。
B2B市場における各サプライヤー別のシェアをみると、第1位の中国進出口交易会が18%、第2位の阿里巴巴が16%、第3位の環地資源が9%、第4位の慧聡が3%、第5位の海虹が1%などとなっている。