中小企業(SMB)において、PCなどのIT技術はどのように活用されているのだろうか。IT企業にとって市場開拓の最後のフロンティアとして熱い視線を浴びるSMBだが、特に"ファミリービジネス"ともいうべき零細企業でのIT活用動向について、米Microsoftが調査を行った。そこで見えてきたのは、ITの普及率こそ高いものの、経営者の年齢層や会社の規模によってIT投資に対する見方が異なるなど、一種のジェネレーションギャップが存在していることだ。
米Microsoftは6月21日(現地時間)、ファミリー経営の小規模企業を対象にしたIT利用動向の調査報告を行った。これは調査会社の米KRC Researchが全米252の小規模企業を対象に電話調査形式で聞き取りを行った結果をまとめたもの。
調査から分かるのは、比較的PCの普及率が高いことで、調査対象全体で約4分の3の企業がPCを所有し、インターネットにアクセスできる環境を整えている。また従業員数が多い会社ほどインターネットの普及率が高く、従業員が6人以上の会社で90%、それ以下で77%と差が出ている。こうした企業はIT投資にかかる比率の多くがPCなどのハードウェア購入と、特定用途向けソフトウェアの購入であり、大企業などのシステム導入と異なる。また2007年のシステム投資金額が前年のそれを上回っている企業の数が多く、IT投資に比較的積極的である様子がうかがえる。
では、こうした機器やソフトウェア導入について、誰からアドバイスをもらっているのだろうか。内訳は友人や家族が29%、専門知識のある同僚が24%、専門家や販売店、メーカーからのアドバイスが24%と比較的ばらけている。だが導入後の満足度で比較すると、友人や家族からの助言で満足した層が75%にとどまるのに対し、専門知識のある同僚が88%、専門家からのアドバイスが95%となり、必要な場面で適切なアドバイスを与えることが、顧客満足度の向上につながるといえるだろう。
興味深いのがIT投資そのものに対する満足度の調査だ。調査対象の83%の企業が、IT投資に満足していると回答している。この傾向は「経営者が"若く"」「高い売上を実現している」という企業ほど強い。特に年齢でみれば、50歳未満の経営者の93%が投資に満足しており、50~64歳になると78%、それがさらに65歳以上になると67%まで減少する。また売上の高い企業では92%が満足と答えるなど、オーナーの年齢と売上規模が、満足度と相関関係にあるといえるようだ。さらにIT投資に積極的な若い層や高収益企業ほどモバイル機器など最新技術に対する適応性が高く、そうした世代間でのギャップをさらに浮き立たせる。実際、異なる年齢層が混在する企業の6割ほどでは、世代間でのIT投資に対する考え方の違いが存在すると答えている。
またIT投資のメリットについては、「経営効率化(79%)」「ビジネスの成長(74%)」「より良い顧客サービスの提供(74%)」などの例を挙げるケースが多く、「大企業との競合(68%)」「ライバルとの差別化(68%)」といった踏み込んだ活用例を上回るなど、ビジネスに対する直接的なインパクトを期待する声が大きいようだ。