SAPジャパンは19日、エンタープライズSOAを対象としたビジネスプロセスプラットフォーム(BPP)事業を強化すると発表した。同事業の中核となるプラットフォーム製品「SAP NetWeaver」(以下NetWeaver)の販売を強化し、企業が独自開発したシステムとパッケージソフトの融合を支援。全世界でSAP社売上高の約5%を占めるという現在のNetWeaverの売上高を、2010年までに数倍にしたいとしている。

BPP事業の強化について発表するSAPジャパンビジネスプロセスプラットフォーム本部長の福田譲氏

BPPはNetWeaverをベースとしたSOAプラットフォームで、業務統合ソフト(ERP)を含むさまざまなアプリケーションや企業が独自開発したシステムなどをモジュール単位に細分化し、コンポジットアプリケーションとして動かせるようにしたもの。企業の独自開発システムとSAPやその他のベンダのパッケージソフトを融合することで、システム上の各アプリケーションの再利用を促すと同時に、ネットワーク上の変化にも対応しやすいようにする。また、UI、ビジネスプロセス、アプリケーションロジックが強固に結びついていた従来のアーキテクチャを緩やかに結合し直すことで、複数のシステム上に存在するWebサービスを組み合わせたアーキテクチャとして再構築することが可能となる。

具体的には、ERPを含めたSAPのさまざまなアプリケーション機能や企業が独自開発した機能を持つアプリケーションを合成(コンポジット)し、それらをWordやExcelなどのOffice製品やPDF上で表示することが可能になる。つまり、それぞれのユーザーや場面に合ったツールをBPPが備えるUIポートフォリオから選択できるというわけだ。

また、サービス化されたSAPの標準業務プロセスと、業界別固有の業務プロセスをBPP上で融合させることで、各業界に特化した業界別BPPの構築も可能となる。

NetWeaverの新製品については、「SAP NetWeaver7.0」と「SAP NetWeaver7.1」に対応したものが予定されている。「SAP NetWeaver7.0」の対応製品としては、リッチクライアント機能を持った「SAP NetWeaver Business Client」とWeb 2.0の機能を盛り込んだ「SAP NetWeaver Portal Collaborative Portal機能」が今年の第3四半期から、ハードウェアとセットとなった「SAP NetWeaver Enterprise Search Appliance」が2008年からの出荷を予定している。

「SAP NetWeaver7.1」に対応した新製品については、「SAP NetWeaver Composition Environment」と「SAP NetWeaver Mobile」が今年5月からすでに限定出荷を開始、「SAP NetWeaver Process Integration」は今年第3四半期からの限定出荷を予定している。

同社バイスプレジデントで、今年1月に設置されたビジネスプロセスプラットフォーム本部長を務める福田譲氏は「BPP専門の営業部隊はすでに20人に達している。ERPを導入している顧客へのNetWeaverの更なる活用の提案や新規開拓を通じ、2010年までにはBPP事業を当社の中核セグメントとしたい」と話している。