携帯電話などモバイル端末向けLinuxの標準化団体「Linux Phone Standards(LiPS) Forum」は11日、「LiPS Release 1.0」の一部を公開した。同仕様は、モバイルLinuxに標準を設け、分断化を防ぐためのもの。年内の完成が見込まれており、今後はアプリケーションフレームワーク、サービスAPIなどに関する仕様が策定される。
LiPSは2005年11月に立ち上がった業界団体。英ARM Holdings、日本ACCESSなど20社以上が参加し、Linux携帯電話の端末とソフトウェアの相互運用性の確保を目指して活動を続けており、アプリケーション開発/実装などに関係するAPI/サービスの標準化に取り組んでいる。2006年にはLinux推進団体のOpen Source Development Labs(OSDL。現Linux Foundation)も参加し、仕様策定に関わっている。
LiPSの仕様公開は今回が初めて。今回発表されたものには、LiPSレファレンスモデル、アドレス帳、音声通話イネーブラー、ユーザーインタフェースサービスが含まれる。ユーザーインタフェースサービスはGnomeのGTKをベースとしており、ウィジェットセット、キーナビゲーション、テキスト入力メソッドAPIを含む。LiPS Release 1.0の完全版は年内にリリースされる予定で、テレフォニーメッセージング、カレンダー、IM、プレゼンスが加わるという。また、ユーザーインタフェースサービスにも新たなサービスが追加される予定。
携帯電話などのモバイル端末におけるLinuxの採用は増えているが、端末とアプリケーションの互換性の問題から、分断化を指摘する声がある。LiPSではLinuxベースのサービスとAPIの標準を策定することで、Linux端末間のアプリケーションの互換性問題を緩和できるとしている。
LiPSは同日、今後のロードマップも発表している。それによると、LiPS Release 1.0の完成の後、2008年にはアプリケーションフレームワーク、IMS(IP Multimedia Subsystem)をベースとしたサービスAPI、OMA DMをベースとしたデバイスマネジメントAPIなどの仕様を開発する計画という。