業務統合パッケージベンダーのSAPジャパンは13日、年商50億円~500億円規模の中堅企業向けERP(基幹業務システム)パッケージ「SAP All-in-One」(以下All-in-One)の内容を大幅に刷新したと発表した。刷新後のAll-in-Oneでは、パッケージの内容を対象業種ごとに細分化。さらに、業務シナリオや実現機能確認シートなどのフォーマットを増やし、極力多くの文書を事前(プロジェクトの開始前)にSIer側で定義できる状態にしている。これにより、コストを従来の約3分の2程度に削減できるほか、導入期間が6ヶ月以内にまで短縮されるため、顧客の作業負荷が軽減されるという。TISや住商情報システムなど21社がパートナーとなり、7月から出荷を開始する。

「『あのSAPが』と言われるほどのコスト削減に成功した」と話すSAPジャパンバイスプレジデントの神戸利文氏

年商50億円~500億円規模の中堅企業は国内に約2万5000社あると言われ、これらの企業を対象としたERP市場は年9~10%以上の大幅な伸び率を示している。一方、これら中堅企業の1社当たりERP投資額は1億円未満が約半数を占めており、ベンダー/SIerにとっては開発費用の削減が大きな課題となっている。加えて、中堅企業の場合、顧客側の開発担当者は通常の業務においても重要な役割を果たすケースが多く、開発期間の長期化による負荷の増大を防ぐことが急務とされている。

こうした状況を受け、SAPジャパンは中堅企業向けERPパッケージ「All-in-One」を刷新。従来は「組み立て製造業」「プロセス製造業」など、比較的おおまかだったパッケージの業種別カテゴリーを「半導体」「電子部品」など40~50種類に細分化することで、文書を導入前に定義できるようにし、工程数を大幅に削減。その結果、「あのSAPが」と言われるほどのコストダウンに成功、中心価格帯を従来の約3分の2となる1億円前後にすることが可能となった。また、事前設定の増加により、導入に際して顧客が負担していた人的リソースを削減、導入期間を6ヶ月以内に短縮することも実現した。

新しい「All-in-One」は、最新バージョンの「ERP 6.0」とこれに対応した「Best Practice」、プラットフォームである「NetWeaver」をSAPジャパンが提供、さらにパートナー企業が独自の事前設定済みシナリオや拡張機能を提供する。導入前に、実現機能確認シートにパッケージ内容を明確に定義することで導入後のリスクを可能な限り減少させるほか、導入時の設定も簡単に行えるようになっている。