米Adobe Systemsは11日(現地時間)、クロスプラットフォームなアプリケーション実行環境のAdobe Integrated Runtime(AIR)のベータ版の提供を開始した。Adobe AIRは以前まで「Apollo」の開発コード名で呼ばれていた技術で、Flash/Flex、HTML/CSS、Ajaxで記述されたアプリケーションをRIA(Rich Internet Application)としてPCのデスクトップ上で実行が可能。これにより、これまでWebブラウザに依存していたWebアプリケーションが直接ネイティブアプリケーションと同様のスタイルで利用できるようになる。また今回のAdobe AIRのベータ版では、組み込みローカルDB、PDFサポート、JavaScript開発者向け拡張機能、Flexとの統合機能などが新たに含まれている。
現在提供されているのはAdobe AIRのベータ版と、同SDKの2つのソフトウェアモジュール。両ソフトウェアともにAIRの専用ページより無償でダウンロード可能だ。現在はWindowsとMac OSのサポートのみだが、将来的にはLinuxや多言語サポートも予定されている。
またAIRと連携してAdobeのRIA戦略の中核となるFlexについては、AIRベータ版のリリースと同日にFlex 3 Public Betaの提供が行われている。AIRベータ版では新機能としてAdobe Reader 8.1相当の機能を備えてPDFサポートが行われるほか、透過HTMLウィンドウやドラッグ&ドロップ、Flash APIなどのサポートにより、Ajaxプログラミングで通常のデスクトップライクなアプリケーションが構築できる。
またAdobeではAIRの正式発表に合わせ、「Adobe AIR Developer Derby」の開催もアナウンスしている。これはAIRアプリケーションのコンテストで、5つのカテゴリと総合グランプリで優勝者に賞金を与えるというもの。優勝者は今秋に開催されるAdobe MAX 2007にて発表が行われることになる。そのほか、北米18カ所の都市をまわるキャンペーン「On AIR」の開催も予定されている。こちらは7月10日のシアトルを皮切りに、9月30日のシカゴのAdobe MAX会場へと終着することになる。