米Palmは6月4日(現地時間)、投資会社のElevation Partnersとの戦略的な提携を発表した。両社はPalmをスマートフォンおよびモバイルコンピューティング市場の次世代リーダーに押し上げるために資本強化プランを実行。またAppleのシニアバイスプレジデントだったJon Rubinstein氏が取締役に就任する。Treoが成功しているPalmだが、競争が激化する携帯電話市場においては比較的規模の小さなプレーヤーである。そのためNokiaへの身売りや投資会社との戦略的提携の可能性が報じられていた。
ElevationはPalmに対して3億2500万ドルを出資し、1株8.50ドルで転換優先株を取得する。これは6月1日までの過去10日間の平均取引額におよそ16%のプレミアを上乗せした額になる。Palmは1株あたり9ドルの配当金支払いを行う計画で、この対象にElevationは含まれない。配当金支払いの総額は9億4000万ドル程度になる見込みで、Palmは手持ちの現金とElevationからの出資金、新たな借入などで充当する。資本強化プランは株主の了承を得た後に、2007年第3四半期に完了する予定だ。配当金支払い後にPalmには3億ドル以上の現金資産が残り、取引完了後にElevationはPalm普通株の約25%を保有する見通しだという。
Palm取締役会はJon Rubinstein氏をエグゼクティブチェアマンとして迎え入れる。同氏は2006年までAppleでハードウェアエンジニアリング担当のシニアバイスプレジデントを務め、iPodチームを率いてきたことで知られる。「およそ10億台の携帯電話が毎年販売され、モバイルコンピューティングが大きな可能性を秘めたカテゴリに成長している。その分野において、Palmは革新的な製品を送り出し、スマートフォン市場を開拓してきた素晴らしい歴史を持つ。私は、その伝統の継続を手助けするつもりだ」とRubinstein氏。
またEric Benhamou氏とScott Mercer氏が取締役を退き、ElevationのパートナーであるFred Anderson氏とRoger McNamee氏が加わる。これによりPalmの取締役の人数は1人増えて9人となる。
Palmの社長兼CEOのEd Colligan氏は「取引が完了すれば、Palm首脳部の強化と資本構造の改善につながる。人材集め、実行力という点でより優位な位置に立ち、株主に長期的な価値を提供できる」とコメントしている。