5月30日、日本Javaユーザグループなどが主催する「JavaOne 2007 報告会」が開催された。
同報告会では、5月8日より開催されたJavaOne 2007に参加した一流のJavaエンジニア達が様々なトピックを発表。分かりやすいだけでなく、非常にユニークで興味深いものも数多くあった。また、200人入る会場はほぼ満杯で、Javaに対する注目度が依然として高いことを感じるイベントとなった。文章ではその雰囲気がなかなか伝わりづらいとは思うが、講演者たちの言葉を借りつつ、Javaの世界で起きている潮流を簡潔にお伝えしたい。
複数の言語をサポートするプラットフォームへ
最初の2つのセッションは、サン・マイクロシステムズのエンジニアによるものだった。
1つ目は藤井彰人氏による「OPEN JAVA: IMAGINE THE POSSIBILITIES」で、今回のJavaOneにおけるキーワードを幅広く取り上げ、Javaの現状と未来についてJavaOneで発表された意見を紹介した。
それによるとJavaの現状としては、開発者も搭載デバイスの数もいまだに増え続けているという。開発者は実に600万人に達しており、そのうちの8~10%が日本人だとのことである。だが、Java言語からは離れ、スクリプト言語に移行するという動きもあり、将来的にJavaプラットフォームは、複数の言語をサポートし、共通のAPIを提供する実行環境になると予測していた。
Javaプラットフォームの将来 |
今後のJavaのスローガンとしては「Faster, Faster, Faster」(「速く、速く、速く!」…米Sun Microsystemsソフトウエア部門責任者Rich Green氏)だとのことで、JDKのパフォーマンスだけではなく、モジュール化/コンパクト化によるアプリケーション起動速度の向上にも努めていくという。
そして、Javaの未来を担う技術と言えばJavaFXも欠かせないパーツだ。JavaFXは様々なデバイスへの対応を当初から視野に入れていることが特徴であり、すでにモバイル機器に対応した製品である「JavaFX Mobile」が発表されている。
OPEN、FAST、COOL
2つ目は、サンの岡崎隆之氏による「Java SEの逆襲」だ。前述のように、今回のJavaOneは、JavaFXをはじめとしたクライアントサイド技術(=Java SE)に注目が集まったカンファレンスだと言える。そうした最近の潮流を、岡崎氏は「OPEN、FAST、COOL」という簡単な三つの単語に要約して語った。
「OPEN」は、OpenJDKをはじめとするSun Microsystemsによるオープンソースの取り組みだ。OpenJDKは、Linuxディストリビューションへの搭載を睨んでか、GPL v2での公開を完了した。今後の開発モデルに関しては、暫定的なガバナンス・ボードを設置したうえで、しばらくの間Sunが「慈悲深い独裁者」として関与するということである。
「FAST」は、言うまでもなく高速化だ。JDKの改良による高速化のみならず、Java Kernelプロジェクトが進めているJDKのモジュール化とオンデマンドダウンロードや、JRE関連ファイルを常にディスクのバッファキャッシュに読み込んでおくことでJREのロード時間を短縮する「Java QuickStart Service」などが紹介された。
「COOL」は、Javaでクールなデスクトップアプリケーションを作成するというトピックについてであった。SwingLabsや、Timing Frameworkなどのプロダクトが紹介された(ちなみに、今回の岡崎氏のスライドはTiming Frameworkを用いて作られたものだという)。これまでのSwingに欠けていたデータバインディングやバリデーションなどについても解決するためのJSRがすでに提案されており、Javaを用いてデスクトップアプリケーションを作成することが一般的になる日も近いかもしれない。
紹介されていた、「クールな」地球儀アプリNASA World Wind |