BI(Business Intelligence)の世界では技術の発展が目覚しい。しかし、その技術を経営の現場に生かせている企業は少ないのではないだろうか。29日に開催されたビジネスオブジェクツ主催のカンファレンス「INSIGHT Japan 2007 - BI2.0が実現する見える化の先 ~現場力強化の実現~」では、BIを活用した成功事例としてディズニーランド・パリの取り組みが紹介された。同施設では、BIの積極的な導入により、営業利益をグループ2位にまで引き上げたという。

待ち時間の低減が、満足度と売り上げの向上につながる

ユーロディズニーSCA ビジネスインテリジェンス担当シニアマネージャ フェルナンド・イアフラット氏

ディズニーランド・パリは、1992年に開園したヨーロッパ唯一のディズニーランドである。年間1,250万人が訪れ、1,200人の従業員が働く。現在、60のアトラクションがあり、54の小売店舗と68のレストラン/食事スペースを設けているという。

そのディズニーランド・パリにおいて問題になっていたのだが「待ち時間」だ。これには、アトラクションだけではなく、駐車場や小売店、レストランなどの待ち時間も含まれる。特に、駐車場や小売店、レストランにおける待ち時間は、「アトラクションに比べ、顧客のストレスが大きいうえ、売り上げに直結する」(ユーロディズニーSCA ビジネスインテリジェンス担当シニアマネージャ フェルナンド・イアフラット氏)だけにこの問題の改善は急務であった。

オペレーションBIへの取り組み

ディズニーランド・パリを運営するユーロディズニーSCAでは、この問題に対して「オペレーションBI」という概念を導入し、解決を図ったという。オペレーションBIとは、その名のとおり、オペレーションを迅速化するための手法だ。通常のBIが経営に関する意思決定を促すものであるのに対し、オペレーションBIはその時点で起きている事象に対処するためのオペレーションをサポートするものになる。

ユーロディズニーSCAでは、そのときどきの各施設/ポイントにおけるトラフィックをBusinessObjectsを使って予測。その値と現状のデータを5~10分ごとに比較しながら、問題のある部分を早期に発見し、対応を施しているという。予測値には、過去データのほか、ホテルの利用状況や天気予報なども反映されており、その精度は非常に高い。予測値と大きな乖離が見られたときは、園内のオペレーションに問題がある判断され、さまざまな対処が施されるという仕組みだ。