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日本オラクルは29日、同社のCRMアプリケーション「Oracle Sieble CRM On Demand」に関する説明会を開催し、CRMアプリケーションに対する同社の戦略や市場の状況、今後の計画などを語った。説明を行ったのは、米OracleのCRM On Demand担当シニア・バイスプレジデントのアンソニー・ライ氏。
同氏はCRMアプリケーションを、その提供形式から「On Premise」と「On Demand」の2種類に分類した。「On Premise」は従来型のパッケージで、ユーザーが独自にサーバを設置し、運用していく。「Oracle Siebel 8」がOn Premiseに相当する。一方「On Demand」はSaaS型のサービスとして利用されるもので、「Oracle Siebel On Demand Release 14」がこちらに当たる。この2種類はユーザー企業のCRMに対する期待や位置づけによって使い分けられるもので、どちらかが他方を置き換えるような性格のものではないという。
また、CRMの使われ方に注目した2分類として、「事務的CRM」と「戦略的CRM」という分類も紹介された。事務的CRMは「生産性向上」を目的とするもので、ベストプラクティスを安価に導入することが主眼となる。一方、戦略的CRMは、プロセスの変革によって競合優位性を生み出すなどが主な利用意図となる。こうしたユーザーの姿勢の違いは、企業のビジネスモデルとも深く関わる。同氏は「amazon.comの顧客対応と、ボーイングが旅客機の商談をまとめる際の顧客対応はまったく違うものになる。CRMも、この違いに応じて機能の違いを持つことになる」と説明している。
同氏は「One size doesn't fit all(誰にでも合うものはない)」という表現で、CRMアプリケーションは1種類だけでは不十分だとし、On Premise型/On Demand型の両方を提供していくことが同社の戦略だとした。
さらに同氏は4月に米国で発表された「Oracle Application Integration Architecture(AIA)」と、それに基づく「プロセス統合パック(Process Integration Pack)」について言及し、「CRM On Demand Integration Pack for Oracle E-Business Suite」を紹介した。共通のデータモデルに基づいてERPとCRMを統合することで、競合に比べて1/3程度のコストでプロセス統合が実現できるという。
また、同氏は質問に答える形でSalesforce.comとの競合についても言及し、「CRM On Demandのユーザーは好調に増加している。一部は確かにOn Premise型のSiebelから移行したユーザーもいるが、むしろSalesforce.comからの移行も多い」とした。Salesforce.comとのSaaSモデルでの競合でも優位だという認識を示し、さらにOn Premise型との併用やプロセス統合でも有利ということで、CRM分野における自社の優位性に強い自信を示した。