韓国と米国の間で結ばれた「韓米FTA」では、インターネット上の著作権についても合意がなされている。しかしこの内容に対して、韓国インターネット企業協会から「待った」が出た。

著作権侵害でWebサイト閉鎖

問題となっているのは協定文内の「オンライン不法複製防止」に関する記述。内容は次の通りだ。

「大韓民国はいわゆる"ウェブハード"(オンラインストレージ)サービスを含む、無断ダウンロード(およびそれ以外の形態の不法複製)を許容するインターネットサイトを閉鎖し、これにはとくに個人間ファイル共有サービスに対するものをも含む。インターネット上のの知的財産権に対するより効果的な執行を提供することに同意する」

これに対して同協会では「著作権侵害を故意に助長したり、積極的に誘導するなど悪意のある著作権侵害行為をほう助または放置していないにも関わらず、単に自身の運用するサイトを通じて著作権侵害行為が起こっただけでも、インターネットサイトを閉鎖する措置を認めるのは行き過ぎた措置である」と述べている。

つまり協定文では「インターネット上で起こるあらゆる著作権侵害行為が見つかったら、そのWebサイトを閉鎖する」と述べているのに対して、企業協会側では「悪意がなくても著作権侵害が起こりえるにも関わらず、すぐに閉鎖するのは度が過ぎるのでは」と反発しているのである。

正常なサービスも閉鎖するWeb閉鎖措置

企業協会では「(Webサイト自体を閉鎖することは)正常なサービス利用までも遮断してしまう措置となるのであり、こうしたことは世界的にも前例がないものである」と述べている。

そのため、「たとえ故意の著作権侵害が見つかったとしても、該当範囲内にある著作権物の複製・転送が可能なサービスの遮断にとどめるべきだ」と主張する。

さらに同協会では、上記のような内容を合意するにあたった「経緯と背景に対する公式な弁明とともに、該当部分の撤回を求める」と、政府に対して強硬姿勢に出た。

もともと韓国インターネット企業協会というのは、韓国のインターネット関連企業からの代表者により結成されている非営利団体だ。ここにはNHNやDaum Communicationなど有名ポータルサイトを運営する企業のほか、CJ Internetなどのコンテンツプロバイダ、NCsoftなどのゲームメーカー、Overtureなどのインターネット広告会社など、あらゆるインターネット企業が参加している。

著作権侵害が見つかり次第、Webサイトを閉鎖されてもっとも困るのは彼らインターネット企業であるといえ、ここに同協会が協定文に反対する大きな理由があるといえる。

Webサイト上での著作権侵害は深刻な問題であるとはいえ、Webサイト全体が停止となれば企業へのダメージは大きい。著作権侵害を減らそうと合意された内容ではあるが、副作用も大きいこの協議内容については、さらなる論議が必要となりそうだ。