FreeNAS(The Free Network-Attached Storage Server)というネットワークストレージサーバソリューションがある。本稿執筆時点での最新版はFreeNAS 0.684b。1.0がリリースされるまでには解決するべき課題がいくつかあり、まだ時間がかかる見通しだが、将来がかなり期待できそうなアプリケーションである。2007年5月19日(東部標準時)に開催されたBSDCan 2007において同ソリューションの発表があったので、ここで紹介しておきたい。

FreeNASでかんたん構築! 本格派NASサーバ

FreeNASは、NASサービスを提供することに特化してカスタマイズされた組込み向けOSであり、アプリケーションを含む一連のソリューションとして捉えることができる。OSをFreeBSD 6.2にアップグレードしたm0n0wallをベースに構築されている。m0n0wallで提供されている主要な機能はファイアウォールだが、これをNAS機能に置き換えたようなソリューションだ。

FreeNASはm0n0wallで提供されているWeb GUIと同じインタフェースを提供しているほか、OSのアップグレードもWebインタフェースを通じて実施できる。設定はXML形式のファイルに保存され、外部への保存/読み込みがサポートされている。サポートしている主な機能は次のとおり。

  • Software RAID 0 機能 (gstripe/gvinumを使用)
  • Software RAID 1 機能 (gmirror/gvinumを使用)
  • Software RAID 5 機能 (graid5/gvinumを使用)
  • Software RAID 1+0, 0+1, 5+1など複数の組み合わせを可能にする機能 (GEOM機能によって各種組み合わせを実現)
  • JBOD (gconcatとともに使用)
  • GEOM GPTを使用
  • ディスク暗号化機能 (geliを使用)
  • iSCSI対応
  • mDNSResponderを使ったZeroconfに対応
  • ユーザ認証機能
  • MS-ADの統合

サポートしているプロトコルは次のとおり。

  • Windowsファイル共有 CIFS (Sambaを使用)
  • Appleファイル共有 AFP (NetaTalkを使用)
  • FTP (Pure-FTPdを使用)
  • RSYNC (サーバ、クライアント、ローカル対応)
  • SSH (HPNパッチ適用済み)
  • uPNP (uShareを使用 - Volker TheileとともにFreeBSDへ移植)
  • Unison

要するに、FreeBSDをベースとしたルータ/ファイアウォールアプリケーションであるm0n0wallを、NASサーバに置き換えたものであり、m0n0wallと同じWebインタフェースを持っていること、FreeBSDが提供している機能をフルに活用していることといった特徴があるソリューションだ。gstripe/gvinum、gmirror/gvinum、graid5/gvinum、GEOMなどを活用することでソフトウェア的にRAID 1+0, 0+1, 5+1など、いくつもの組み合わせを簡単に実現できるところが魅力と言える。