NECは22日、データセンター市場向けサーバとして「Express5800/iモデル」4機種を発売したと発表した。同社のIAサーバExpress5800と基本的な構成が同一だが、データセンターでの利用を想定し、その環境で求められる細かな部分に配慮した点が特徴となる。なお、「iモデル」の"i"は"iDC"の意味だという。
iモデルでは、多数台の集積を想定し、省電力/省スペースに重点が置かれている。超低消費電力モデルと位置づけられる「Express5800/i110Ra-1h」および「同i110Rb-1h」(ハーフサーバ)は、奥行きが通常のラックマウント型サーバの半分以下で、ラックの前後からセットすることで1段に2台のサーバを収容でき、ラック当たりのサーバ台数を通常の2倍とすることができる。プロセッサにはモバイル用のPentium M(i110Ra-1h)またはCore Duo(i110Rb-1h)を採用し、プロセッサの消費電力を低減すると同時にチップセットはサーバ用のものを使用してサーバとしての信頼性を確保するなど、独自色の強い設計となっている。
ハーフサーバの奥行きは35.5cmで、標準的なラックの場合(奥行90cm)、前後から2台を同一スロットに挿入し、さらに中央部分に通気用のスペースを確保することが可能。ラック中央で向かい合わせになる背面部分はほぼアクセス不能となるため、コネクタやインジケータなどはすべて前面に装備されるという、独特デザインのサーバとなっている。消費電力はデュアルコアプロセッサを採用するi110Rb-1hでも最大108Wといい、ラックに収めてデモ稼働中の実機では、100W以下の消費電力であることが示されていた。
また、リモート管理機能を全機種に標準搭載した点もiモデルの特徴となる。サーバ本体のプロセッサとは独立して動作するサーバ管理チップ「EXPRESSCOPEエンジン」を搭載しており(i110Ra-1hには未搭載)、標準添付の管理ソフトウェアを管理用PCにインストールしてネットワークで接続することにより、遠隔地からの電源のオン/オフやBIOSメッセージ表示などを含むサーバのコンソール画面の遠隔転送、管理用PCのFDDやCD-ROM/DVD-ROMドライブをサーバのローカルドライブと見なしてインストール用などに利用するなど、各種の管理機能がリモート実行できる。
なお、サーバ自体だけではなく、周辺パーツなどもiDCなどでの運用を想定している点もiモデルの特徴となる。たとえば、ラックにサーバをマウントするために使用するレールは、ネジ止め式ではなくワンタッチロック型の金具を独自に作成して使用しており、ラックへのサーバのセットが1人でも容易に行えるように配慮されている。運用を開始した後のことはもちろん、iDCに搬入されたサーバが運用開始するまでの作業負担の軽減にも気配りしている点が「データセンター専用モデル」を標榜するiモデルの特徴となっている。
また冷却システムにも細かな配慮が伺える。高さが1Uサイズ(約44mm)に制約されることから、小口径の冷却ファンをずらりと並べ、さらにその気流を漏らさないようCPUは導風板でカバーされている。CPUのヒートシンクは、気流を妨げない向きに薄いフィンが高密度で配置されたタイプを試用している。この気流でメモリの冷却も行うため、メモリモジュールも向きが揃えられ、さらに放熱板を装備したものが使われる。CPUの奥、メモリの隣にあるチップセットも、ヒートシンクの向きがちゃんと揃っていることが、以下の写真からわかるだろう。サイズの制約の中でいかにエアフローを確保し、効率よく冷却するかがメーカー間での設計面での差別化ポイントになっているという。
iモデル4機種の出荷開始は、5月28日の予定。
品名 | 形態 | 価格 | 構成 |
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i110Ra-1h | ハーフサーバ | 82,800円~ | Pentium Mプロセッサ740(1.73GHz)または760(2GHz)、512MBメモリ、ディスクレス |
i110Rb-1h | ハーフサーバ | 138,000円~ | Core DuoプロセッサT2500(2GHz)、512MBメモリ、ディスクレス |
i110Rh-1 | 1Uラックマウント | 149,000円~ | デュアルコアXeonプロセッサ3040(1.86GHz)、512MBメモリ、ディスクレス |
i120Rg-1 | 1Uラックマウント | 230,000円~ | デュアルコアXeonプロセッサ5110(1.60GHz)または低電圧版デュアルコアXeonプロセッサ5148(2.33GHz)、1GBメモリ、ディスクレス |