NECは21日、2006年度の決算を発表した。経営方針として全員参加の「攻めの経営」を掲げた2006年度の連結売上高は、4兆6,526億円で、前期比2,773億円(5.6%)減となった。営業利益は700億円で同26億円(3.5%)減、経常利益は同14億円(3.6%)増の163億円、当期純利益は同192億円改善し91億円となった。エレクトロンデバイス事業は半導体を中心に伸長したが、IT/ NW(ネットワーク)ソリューション事業はほぼ前期並、モバイル/パーソナルソリューション事業ではモバイルターミナル分野での海外事業縮小、欧州での個人向けPC事業の売却や国内出荷台数の減少などにより減少した事が、今回の決算の要因となった。

セグメント別の実績表

NEC執行役員常務の小野隆男氏と経理部主計室長の松倉博之氏

セグメント別では、IT/NWソリューション事業の売上高は前期比0.1%減の2兆7,588億円、営業利益は同14.8%減の1,541億円となった。同事業のITサービス/SI分野の売上高は、通信キャリア向けプラットフォーム、流通業、官庁、金融などが堅調で、同0.6%増の7,756億円。ITプラットフォーム分野では、DVDドライブの売上高の減少などにより、同4.7%減の6,514億円。ネットワークシステム分野では、簡易型マイクロ波通信システム「パソリンク」の海外における売上が前年比約15%増となり、同3.4%増の1兆263億円となった。社会インフラ分野では、国内デジタル放送基幹設備の投資が一巡し、同2.9%減の3,055億円となった。

モバイル/パーソナルソリューション事業は、売上高が同2,853億円(22.8%)減の、9,650億円、営業損益は218億円(39.5%)改善し、335億円の損失となった。同事業のモバイルターミナル分野の売上高は、携帯電話の国内出荷台数の減少に海外事業の縮小が加わり、同27.2%減の3,499億円。パーソナルソリューション分野の売上高は、欧州の個人向けPC事業の売却と、国内PC市場の伸び悩みなどから20.1%減の6,151億円となった。

エレクトロンデバイス事業全体の売上高は451億円(5.5%)増の8,610億円となり、営業利益は同78億円(25.2%)改善し230億円の損失。研究開発費や生産固定費の増加、製品の価格下落などが影響した。半導体分野の売上高は同7.2%増の6,923億円。電子部品その他分野では、プロードライザを始めとして新製品の売上が拡大したが、前期に大型案件のあった小型液晶ディスプレイの減少により、同0.7%減の1,687億円となった。

同社は、今後も堅調な市場が続くことを見込み、「IT/NWソリューション事業をコアとして拡大していく予定で、海外事業についても携帯電話への注力はないが、ITサービス/SI分野を中心に積極展開する」とNEC執行役員常務の小野隆男氏は語った。また同社は、「パソリンク」などネットワークシステム分野へ注力し、モバイルターミナル分野では国内向け端末を強化、450万台の出荷を目指す。