米Mirosoftは5月18日(現地時間)、オンライン広告企業の米aQuantiveの買収を発表した。aQuantive株1つに対し66.50ドルが割り当てられ、総額で約60億ドル規模の買収となる。66.50ドルは、同社株の前日17日の終値35.87ドルに約85%のボーナスを上乗せしたもの。取引は全額キャッシュで行われる。今回の発表は、4月13日(米国時間)のGoogleによるDouble Click買収表明以後、YahooやAOLらオンラインサービスを提供するライバル企業らが行った一連の買収劇に続くものとなる。急成長中のオンライン広告分野を舞台に、今後大手ベンダーを中心とした業界再編が始まることになるだろう。
aQuantiveはオンライン広告の分野ではトップ企業の1つで、近年は買収等を繰り返してその業容を急速に拡大している。広告代理店業務やマーケティングツールの提供にあたっては、「Avenue A | Razorfish」「Atlas」「DRIVEpm」といったブランドを傘下にビジネスを展開する。「広告業界は急速にオンラインやIPプラットフォームの世界へと進出しており、今回の買収がわれわれのMSN、Xbox Live、Windows Live、Office Liveといった広告サービス革新のための次のステップへと結びつくだろう」と米Microsoft CEOのSteve Ballmer氏はコメント。aQuantive買収が同社の広告ビジネスのてこ入れとなることに期待する。
今回MicrosoftがaQuantive買収を発表したことで、オンラインサービス大手による買収案件がすべて出揃った形となる。GoogleがDouble Click買収を発表して以降、シェアで差をつけられ危機感を抱くMicrosoftは「独占禁止法に抵触する恐れがある」とたびたび同社を攻撃している。だがGoogleの発表から時を置かずして、この分野におけるライバル企業らの買収提案が立て続けに発表されている。例えば、米Yahooはオンライン広告のRight Mediaの80%の株を獲得し、米Time Warner傘下のAOLは携帯向け広告のThird Screen Mediaとオンライン広告のAdTech、オンラインマーケティング企業の米WPP Groupは24/7 Real Mediaといった具合だ。結果として、M&Aによる業界再編の引き金がDouble Clickの買収にあったといえるだろう。さらにMicrosoftの発表が続いたことで、こうした動きはさらに加速されることになる。