富士通は16日、ネットワークを中心としたIT活用によってビジネスを革新するという新しいネットワークサービス構想「Network as a Service」を発表した。「Network as a Service」ではネットワークをITサービスの中心として位置づけ、その上で利用者の利便性向上と制約の緩和を両立させたビジネス基盤を構築するという考え方。

同社では今後、コンピュータやネットワークなどのITリソース、個人認証などのセキュリティ技術、ビジネス基盤の早期構築のためのプログラムやインタフェース群を融合し、「サービス・プラットフォーム」として提供していくという。

さらに同社は、この構想に基づいたサービス・プラットフォーム実現のための第1弾としてマルチキャリアネットワークサービスの新バージョンである「FENICS II」の提供を6月上旬より開始する。FENICS IIは企業の専用ネットワーク網、インターネットおよび今後普及が始まる次世代ネットワークを富士通がワントップで提供するネットワークサービス。高速・高品質なネットワークインフラをベースとし、24時間365日体制でのシステム監視など、万全のサポート体制で顧客にとって最適なネットワークサービスを実現する。

FENICS IIではユビキタス端末のサポートが大幅に強化されている。これは多様化するビジネスの現場を考慮し、ユビキタス端末によって柔軟にネットワークとの接点を設けることで新たな利用シーンを創出しようというのが狙い。ユビキタス利用に対応したセキュリティの確保にも留意し、正規利用者を特定するためのパーソナルアクセスキーを採用。それに基づいたネットワークの利用方法を提案するパーソナルアクセスソリューションの提供を行う。

富士通ではFENICS IIに基づくネットワークサービスを、国内外の通信事業者と連携してグローバル展開していく方針。6月上旬からは世界約170の国や地域を対象とした「FENICSグローバルVPNサービス」の提供を開始するという。また、すでに提供中のWebビデオ会議システム「JoinMeeting」についても、FENICSグローバルVPNサービスと併せて利用できるようにする。

「Network as a Service」を実現するためのサービス・プラットフォームは、今回提供を開始する「FENICS II」と、ネットワークを通じてアプリケーションの機能を提供する「SaaS(Software as a Service)プラットフォーム」とで構成される。SaaSプラットフォームでは認証や課金、検索等を実現するプログラム/インタフェース群を基に、ITリソースのオンデマンド提供を実現する。SaaSプラットフォームの提供時期は近日発表予定とのこと。

富士通では同サービス・プラットフォームを核としたサービスの提供により、2006年度4600億円だった売上規模を2008年度までに6000億円以上に引き上げる計画だ。