アイエニウェア・ソリューションズは10日、RDBMSパッケージの新版「SQL Anywhere 10」日本語版をリリースした。新版では200以上に及ぶ機能強化を実施。実行時のパフォーマンスが向上したほか、データの複製/同期、暗号化などにおいても大きな改善が施された。
アイエニウェア・ソリューションズ 代表取締役社長 早川典之氏 |
アイエニウェア・ソリューションズ エンジニアリング統括本部 統括部長 リチャード・モーガン氏 |
SQL Anywhereは「国内のアプリケーション(パッケージ)組み込み市場においてトップシェアを誇るRDBMS」(アイエニウェア・ソリューションズ 代表取締役社長 早川典之氏)だ。軽量かつ高機能なうえに安価といった特徴があり、会計パッケージや営業支援パッケージ、POSシステムパッケージなど、多くのパッケージソフトウェアで採用されている。また、チューニングを施さなくても高い性能を発揮できること、データの同期/暗号化機能が基本パッケージに含まれていることなどから、中小規模のシステムやモバイル端末と連携を行うシステムにおいても豊富な導入実績があるという。
アイエニウェア・ソリューションズ エンジニアリング統括本部 統括部長のリチャード・モーガン氏は、200以上の機能改善/追加が施された今回のリリースについて、「これまでで最も大規模な変更を加えたバージョン。今後もこれほど多くの修正を一度に加えることはないだろう」と語り、同社の自信作であることを明かす。そのSQL Anywhere 10では、特に「パフォーマンス改善」「堅牢性の強化」「開発生産性の向上」「同期/統合機能の強化」の4つの実現に注力されており、これらを具現化する機能として以下のようなものが組み込まれた。
マテリアライズド・ビュー - ビューのデータをデータベース内に格納する機能。データベースが大きく、頻繁なクエリで大量のデータに対して集約操作とジョイン操作が発生し、かつ最新のデータにアクセスすることが重大な要件ではないような環境で、パフォーマンスの向上につながる
パラレルクエリバックアップ - 大容量データベースのバックアップ処理を複数のスレッドで平行実行する機能。同社のテストでは、バックアップ処理の実行時間を従来のバージョンに比べて約3分の1に低減できるようになったという
データベースミラーリング - RDBMS間のデータ/ログの同期が自動的に行われるうえ、データベースサーバの監視役を担うアービターと呼ばれるサーバを設置することで、プライマリサーバとセカンダリサーバを自動的に判別し、バックアップサーバへの自動フェイルオーバを実現できるようになった。これにより、クラスタソフトウェアなどを別途購入することなく、高可用システムを実現できるようになる
デーブルレベルでの暗号化 - データベース単位でしか実行することができなかった暗号化処理を、テーブルごとに個別に適用できるようになった。これにより、暗号化によるパフォーマンス劣化を最小限に抑えられる
インストーラ作成ツール - MSI形式のインストーラをウィザードベースで作成できるツールが導入された
Mobile Link管理 - 他社製RDBMSと同期を行うためのスクリプトをウィザードベースで作成できる機能。組み込むべきコンポーネントの種類などを示唆してくれるほか、リモートデータベースに対して変更が必要な場合にはその旨が通知されるという
モバイルWebサービス - SOAアプリケーションとモバイル端末を連携させるための機能。モバイル端末からの要求をWebサービスメッセージに変換してSOAアプリケーションへ転送するなど、SQL Anywhereが両者のつなぎ役を果たせるようになった
これら以外にも、メッセージング管理、モニタリング、プロファイリングにおいてパフォーマンスや操作性の改善が施されたほか、Visual Studio 2003/2005からSQL Anywhereの管理ツールにアクセスできるようになるなど、変更内容は多岐に渡る。
価格は、1サーバ/5クライアントのライセンスが含まれる基本パッケージが13万8,000円。今回発売されるのはWindows版のみだが、近々Linux版も発売される予定だ。