ネオジャパンは9日、韓国ヌリビジョンと提携し、スパムメール対策システム「Opt Plus」のASPサービスを10日より国内で独占的に提供すること発表。併せて、同システムを組み込んだWebメールサービス「Denbun + Opt Plus ASPメールサーバサービス」を、同じく10日から開始することを明かした。
ブロードバンド環境が早期に整備された影響から、スパムメールに対する取り組みが日本よりも早くから本格化していた韓国。その韓国において数多くの導入実績を誇るスパムメール対策システムが、ヌリビジョンのOpt Plusだ。
ヌリビジョン シム ドン・ホ氏 |
ネオジャパン 狩野秀樹氏 |
Opt Plusを利用している企業は、世界で200社以上。特に韓国では、官公庁や銀行/証券業界を中心に広く導入されており、知名度も高い。今年2月には、日本の総務省に当たる情報通信部によって、韓国最高レベルのITプロダクトであることを認める「New Excellent Product (NEP)」が付与された。これは、「ソフトウェアとセキュリティの両分野で初めての快挙」(ヌリビジョン 代表取締役社長 シム ドン・ホ氏)だという。
Opt Plusの最大の特徴は、台湾、韓国で特許を取得(日本、米国、中国でも特許出願中)した「送信者自己(バウンシングバック)認証技術」により、「スパムメールを100%ブロックができる」(ネオジャパン 取締役 狩野秀樹氏)点にある。
バウンシングバック認証技術とは、端的に言えば、送信者自身にスパマー(スパムメール送信者)ではないことを認証させるというものだ。Opt Plusで保護されたアカウントに対して初めてメールを送信したユーザーには、認証システムのURLを記したメールが自動的に返送され、画像認証(画像として表示される数字をユーザーに入力させ、人間であることを確認する認証処理)が促される。認証に成功したユーザーのアカウントは、同システムのホワイトリスト(信頼できるアカウントのリスト)に加えられ、次回以降は認証処理を行うことなく該当アカウントへメールを送信することができるようになる。こうした仕組みにより、未認証のユーザーからメールを受信することがなくなるため、スパムメールを100%遮断することが可能になるという。
バウンシングバック認証は、スパムメール対策で必要になる作業の一部を送信者側に負担してもらうかたちになる。しかし、送信者全員が協力してくれるとは限らない。なかには、業務用メーリングリストのように、システムによって自動配信されるために送信側で認証処理を行うことができないというケースもあるだろう。そうした場合に備え、Opt Plusには、未承認者からのメールを「ペンディングキュー」と呼ばれる一時保存領域に格納しておき、同領域内に貯められたメールの一覧を定期的にメール配信する機能が用意されている。同メールに張られたリンクをたどれば、わずか数クリックで、未認証メールを取り込み、送信アカウントを認証済みリストに加えることが可能だ。
こうした機能に加えて、Opt Plusには、一般的なスパム対策ソフトウェアに組み込まれているようなブラックリスト(信頼できないアカウントおよびスパムと認められるメールのパターンを登録したリスト)ベースのフィルタリング機能も用意されている。こちらは上記のホワイトリストベースのフィルタリング機能を補完するもので、ペンディングキューの内容にフィルタリングをかけたい場合などに役立つだろう。
Opt Plusの価格は、初期費用が8,400円(50ユーザーアカウントまで)~、月額利用料が1ユーザー当たり420円。最大60日間のお試しサービスも用意されている。また、販売開始に合わせて、「スパムメール100%ブロック保障」というプログラムも実施。通常どおりに利用しているのにもかかわらずスパムメールを受信したユーザーが現れた場合には、同ユーザーに対して月額利用料金を返金するという。
ネオソフトでは同時に、Opt Plusを組み込んだ新サービス「Denbun + Opt Plus ASPメールサーバサービス」の提供も開始する。こちらは、同社が提供するSaaSプラットフォーム「Applitus」の上で動作するWebメールサービスで、Ajaxベースのインタフェースにより、Webメールでありながらメールアプリケーション専用のポップアップメニューを右クリックで表示させることが可能といった特徴がある。もちろん、Opt Plusの機能により、スパムメールは完全にシャットアウトされる。初期構築費用は10万2,900円で、月額利用料が7万3,500円。なお、最初の20システムに限り、初期構築費用無料、月額利用料5万円で提供するという。
Opt Plusが普及するか否かは、「メール送信者に認証を強いる」という点が一般利用者に受け入れられるどうかにかかっていると言えるだろう。メール送信後にもう一手間発生するとなると、抵抗を覚えるユーザーも多いはずだ。ただし、(Opt Plusを利用したASPシステムの構築/運用をサポートする)ビットアイル 代表取締役社長 寺田 航平氏は、「Opt Plusのような送信者側に認証メールが返送されるシステムが普及すれば、スパマーを逆に攻撃することにもつながる」と、Opt Plusがスパマー撃退能力を秘めているとの見解を示す。そうした効果が目に見えて現れるようになれば、前向きに協力するユーザーも少なくないはずだ。果たして、Opt Plusは健全なインターネット環境の構築に一役買うのか。今後の動向に注目したい。