マイクロソフトは26日、品川プリンスホテル(東京都港区)において「Microsoft Windows Server "Longhorn" Beta3 セミナー」を開催。次期WindowsサーバOS「Microsoft Windows Server "Longhorn" (開発コード名)」のBeta3を公開したことを発表するとともに、同OSに搭載される新機能について明らかにした。ここでは、基調講演で解説された内容を基にMicrosoft Windows Server "Longhorn"の概要をお伝えしよう。
保守費用を削減し、新規開発案件を増やせ!
米Microsoft Windows Server部門ゼネラルマネージャ ビル・レイン氏 |
基調講演には、米MicrosoftのWindows Server部門ゼネラルマネージャ ビル・レイン氏が登壇。同氏は、講演開始3時間前にWindows Server "Longhorn" Beta3が日米同時公開されたことを発表したうえで、同サーバがもたらす効果について明らかにした。
氏によると、現在、ITシステムに費やされているコストの約7割が保守に当てられており、その保守費用の内訳を見ると6割以上を人件費が占めているという。 マイクロソフトでは、こうした状況がビジネスの足かせになっていると懸念。「保守フェーズの人件費を削減し、そのコストを新規開発に回せる環境を作る必要がある」(レイン氏)との見解を示した。そして、それを実現すべく開発されたものがWindows Server "Longhorn"になるという。
システム基盤の強化ポイント
Windows Server "Longhorn"の新機能は大きく、「システム基盤関連」「運用ストラクチャ関連」「アプリケーションプラットフォーム関連」の3つに分けられる。
これらのうち、システム基盤関連では、以下のような機能追加/強化が施されている。
- サービスに対するセキュリティの強化
- ファイアウォールの改善
- 「Server Core」の追加
- 「ダイナミックパーティショニング」機能の追加
- 新しいTCP/IP機能の追加
- 64bitCPUへの対応
特に注目に値するのがServer Coreだ。これは、運用に必要な機能のみを集めた最小構成のサーバOSをインストールする機能である。Server Coreを使ってインストールを行うと、GUI(エクスプローラなど)をはじめとする"余分"な機能は一切組み込まれなくなる。攻撃対処となるプログラム/コンポーネントが減るため、堅牢性が高まるうえ、アップデート作業の負荷を軽減することにもつながる。
運用ストラクチャ関連の強化ポイント
一方、運用ストラクチャ関連の主な機能強化/追加は以下のようになる。
- 「ターミナルサービス」の追加
- 「ネットワークアクセスプロテクション(NAP)」の追加
- 「Windows Virtualization」の追加
- 「Read-Only Domain Controller(RODC)」の追加
これらのうち、ターミナルサービスは、リモート端末のデスクトップから直接サーバのアプリケーションを実行できるようにする機能になる。リモート端末のユーザーは、配備場所を意識することなくアプリケーションを利用できるようになる。
また、ネットワークアクセスプロテクションは、リモート端末のデバイスを検疫するための機能だ。接続を要求する端末上のソフトウェアをチェックし、基準を満たしていないものは拒絶する。この機能により、例えば、OSのセキュリティアップデートやウィルススキャンソフトの最新パッチが取り込まれていない端末をネットワークから除外することができる。そのため、システム全体の堅牢性を高めることにつながる。
Windows Virtualizationは、その名のとおり、仮想化を実現するためのものになる。Windows Server "Longhorn"では、マルチコアCPUの特性を十分に引き出すため、仮想化技術には特に力を入れて開発が行われている。この技術により、従来は8台のサーバで運用していたシステムを1台のサーバで稼動させることも可能になるという。
そして、Read-Only Domain Controllerは、読み取り専用のホストを作成する機能だ。この機能を利用すれば、一部の通常ホストから複数の読み取り専用ホストを集約管理するといった運用が可能になる。管理が必要なホストの数を減らすことができるうえ、システム全体のトラフィックが軽減されるというメリットも生じる。