米Adobe Systemsは26日、自社のRIA製品基盤であるFlexをオープンソース化すると発表した。ライセンスにはMozilla Public License(MPL)が適用される見通し。
Flexは、「MXML」というXMLベースの言語と「ActionScript」というスクリプト言語を用いてRIA製品を簡単に作成できる開発基盤。その開発生産性の高さと美しいユーザインタフェースが開発者の間で高い評価を得ている。また、Flexの開発スキルがApolloアプリケーションの開発でも生かせることから、今、改めて注目が集まっている。
Adobeはこれまでも、Flex SDKの一部をデバッグ用途/学習用途のため、ソースを公開していた。しかし、今回のオープンソース化はFlex SDKに含まれるすべてのコンポーネントにまで及ぶため、ActionScriptとMXMLのコンパイラ、ActionScriptデバッガ、Flexの中核となるActionScriptライブラリのソースコードも併せて公開される。また、オープンソースライセンスが適用されるため、ソースコードの改変を自由に行うことが可能になった。ただし、Flexアプリケーション開発に特化した有償のIDEであるAdobe Flex Builderについてはオープンソース化の対象とはなっていない。
今後のスケジュールに関しては、オープンソース化の土台を構築する目的で今年の夏にバグデータベースの公開とナイトリービルドへのアクセスを可能にする予定。今年中に完全なオープンソースプロジェクト化を目指すという。AdobeはFlexをオープンソースプロジェクトとした後も、Flexの開発に関しては主導的な役割を果たし、積極的に携わっていくとのこと。開発のスケジュールとロードマップはAdobeが決定する。開発の体制としては、当初はAdobeのFlex開発チームがそのままコミッタ(ソースコードを修正する権限を持つ役割)となるが、しかるべき時期が来れば外部からのコミッタも受け付ける考えがあるという。
今回のオープンソース化により、開発者の裾野が広がるとともに、開発者とコミッタの距離が近くなることで、バグや新機能についてより活発でオープンな議論が展開されると期待される。Adobeでは、いずれFlexコアプロジェクトを拡大し、複数のサブプロジェクトを立ち上げることも計画しているという。