Amazon.co.jp、「マーチャント@amazon.co.jp」の開始を発表

アマゾン ジャパンは24日、「マーチャント@amazon.co.jp」の国内でのサービス開始を発表した。

マーチャント@amazon.co.jpは、同社が"インビテーション・モデル"と呼ぶ出店形式で、サードバーティの事業者がamazon.co.jpからの呼びかけに応じる形でamazon.co.jp内に出品する形態。通常のamazon.co.jpの取り扱い品目はリテール形式で、アマゾン自体が仕入れ、販売、配送を行なう一般的な小売業態であるのに対し、amazon.co.jpのWebインフラを利用してサードパーティが販売を行なう出品型に分類される。

同じく出品型のサービスとして2002年から"Amazonマーケットプレイス"が提供されているが、こちらは自由参加型で、利用できるWeb上の機能も限定されている。これに対し、マーチャント@amazon.co.jpでは、アマゾンが内部的に定める基準を満たす評価の高い小売業者等をアマゾンが勧誘し、amazon.co.jp内で販売を行なう。

ユーザーからの注文はアマゾンが受け付け、内容を出店社に転送、商品の発送やアフターサポートなどは出店社が行なう。決済はアマゾンが代行し、ユーザーから受け取った商品代金から成約手数料を差し引いた額を出店社に支払う。なお、出店社がアマゾンに支払うのはこの成約手数料のみで、契約料などは発生しないという。

アマゾンではマーチャント@amazon.co.jpの特徴を「厳選されたブランド企業による出品」「共通の商品カタログを使用したシームレスな販売」「従来取り扱いのなかった新商材によるセレクションの拡充」としている。

「厳選されたブランド企業」とはアマゾンによるインビテーション・モデルのことを指し、同社では、amazon.co.jpで従来提供してきたユーザーに対する「購買体験」と同等のサービスを提供できることを条件としている。具体的にはオンラインでの購買に対するレスポンスや納期の早さなどを重視しているようだ。

「シームレスな販売」とは、マーチャント@amazon.co.jpの取扱商品が、アマゾン自身がリテール形式で提供する商品と実質的な差がない形態でユーザーに提示されることを意味している。ユーザーが検索などを通じて商品を選択した場合、既に提供されているマーケットプレイスでは、同じ商品を出品している他の出品者とひとまとめにしてリスト形式で提示されることになるが、マーチャント@amazon.co.jpの参加企業は、アマゾン自身と同様の「ショッピングカートに入れる」ボタンが付与されたボックス形式で提示されることになる。同時に、ユーザーには販売/発送社として出品社名が明示される。このほか、「レコメンデーション」機能や「あわせて買いたい」などでユーザーに推奨表示される対象になるという点もマーケットプレイスの出品とは差がつけられているという。また、専用ストアフロントが設置され、出品社が独自の特集を企画することなどもやりやすくなっている。

冒頭で挨拶したアマゾン ジャパンの代表取締役社長、ジャスパー・チャン氏は、amazon.co.jpの日本での開設からの流れを振り返り、2000年のサイト開設から7年間で取り扱いカテゴリーを大幅に拡大してきたことをアピールした。開設当初は書籍のみだったが、現在では全12カテゴリーで、取り扱い商品数は1,000万以上に上るという。さらに同氏は同社のビジョンを「地球上で最も豊富なセレクション、地球上で最もお客様を大切にする企業であること」だと紹介し、マーチャント@amazon.co.jpへの取り組みが、取扱品目(セレクション)を拡大し、同時にユーザーによりよいショッピング体験を提供する取り組みだと位置づけた。

なお、米国での"Merchants@amazon.com"の開始は2002年、その後、英・独で2006年に"Merchants@"が開始されており、日本はそれに続くことになる。2006年時点でのデータでは、グローバルでの販売点数のうち28%をサードパーティによる出店型が占めており、アクティブな出品者数は110万アカウントに達しているという(マーケットプレイスを含む数字)。

マーチャント@amazon.co.jpに参加する出品社は、契約済み企業数で既に約50社となっており、今後順次拡大していく計画。なお、一部の出品社は発表当日からサイトへの出品を開始しているが、残る出品社は準備が整い次第順次出品を開始する予定だ。