キーノートセッション最後のスピーカーはYahoo!のネットワーク部門担当シニアバイスプレジデントのJeff Weiner氏だった。GoogleのEric Schmidt氏と同様、公開インタビュー形式だったが、壇上での両者の立場は全く異なった。好調を維持しているGoogleに対して、Yahoo!は停滞気味。2007年1~3月期決算を比べると、Googleが前年同期比で70%近い増益を達成したのに対して、Yahoo!は増収減益で株価を落とした。Yahoo!が満を持して投入した新広告プラットフォーム「Panama」の効果を疑問視する声も出てきている。何を言っても言い訳と取られてしまいそうな苦境でのインタビューとなった。

Yahoo!の先行きを左右するネットワーク部門担当エグゼクティブのJeff Weiner氏

PanamaについてWeiner氏は順調な立ち上がりを強調した。Yahoo!は06年10月~12月期の決算を発表した時点で、Panamaの完全導入の効果が現れるのは07年第2四半期からと予測していた。第1四半期に低迷する可能性は折込済みだったのだ。これまでのところ広告主からは好意的な反応が返ってきており、今年は四半期ごとに利益性が改善される見通しだという。

Yahoo!はWeb上の最大のネットワークである。それにも関わらず、ネットユーザーの注目はGoogleに集中している。この点についてWeiner氏は、過去3~4年の間にGoogleが上手く事業を展開したのに対して、Yahoo!はつまづきながらの成長だったという。だが、Yahoo!は11~12年の長期的な視野で事業を展開していると説明。実際にPanama、Yahoo! Pipes、新聞社との戦略的提携など、長期的な取り組みの成果が高い評価を受けているとアピールした。

コンテンツ所有者に対するアプローチについて、Yahoo!とGoogleの違いを聞かれると、Googleとの直接の比較では回答を避けたが、Yahoo!がメディア企業の権利を尊重したことで、NBCやUniversal、Viacomなどと共に最大のビデオネットワークの構築を実現できたと述べた。ニュースや音楽、金融・経済などの分野においても、メディア企業と良好な関係、コンテンツの優れたパッケージ化がトップの座につながっているという。

FacebookがYahoo!を含む様々な企業の買収ターゲットとなっている点に話題が及ぶと、企業地図を塗り替えるような大型買収の必要性は否定しながらも、「Yahoo!はMySpaceやFacebookのような分野で成功していない」と認めた。「Yahoo! 360」というSNSを展開しているが、これまでのところ苦戦が続いている。「Yahoo! Groups、Yahoo! Answers、del.cio.us、Flickr、Jumpcut、BIXなど、Yahoo!は可能性を秘めた貴重な資産をいくつも抱えている。求められているのは、それらを結びつけるサービスだ」とWeiner氏。SNSがYahoo!の長期戦略をブレークに導くカギとなる。