ヤフーが「Yahoo!JAPAN ネット生活予測レポート」のNo.005を発表した。同レポートでは、No.004に引き続き「再流通消費」の実態についてさらに詳しく分析した結果をレポートしている。
回答者は15歳以上の全国のYahoo!リサーチ・モニター2110名(男性:1206名 女性:904名)。調査は昨年の8月29日から9月1日の期間中に実施された。
No.004は、ネット・オークションなどを上手に活用する新しい消費生活のことを再流通消費と呼称し、従来の中古流通とは違った特徴をもっている新しい消費スタイルが形成されつつあるというレポートだった。No.005では、日本のインターネット利用を7つのクラスターに分類してみたところ、それぞれのクラスターに興味深い違いがあることがわかったという。
デジタル・ネイティブ層(クラスター1) 構成比12.2%
10代・20代の女性を中心にして、デジタルなことに抵抗がない世代。積極的にネット・オークションも活用しており、ファッションアイテムを中心に積極的に購入・出品する。また「生活の中に刺激がほしいと思う」(+25.7)、「流行に敏感」(+22.3)、「情報は多ければ多い方がいいと思う」(+21.2)という特徴がある(括弧内の数字は全体平均との差。以下同)。平均世帯年収は816万円(+75万円)、自由に使えるお金は月額58,639円(+7,340円)。
倹約ニッポン人層(クラスター2) 構成比: 22.6%
30代・40代の男性社会人が中心の層。ネット・オークションの利用度は現段階ではあまり高くなく、「古い物を処分する」という感覚で利用する。また、年収は平均的だが、お小遣いがあまり高くないため倹約する傾向にある。このほかの特徴として、「衝動買いをよくする方だ」(+14.7)、「世の中はすべてお金で決まることが多い」(+14.3)。平均世帯年収は747万円(+6万円)、自由に使えるお金は月額36,617円(-14,682円)。
ネット・オークション・リーダー層(クラスター3) 構成比: 11.5%
30代・40代の男性社会人が中心の層。世帯年収が高く、お小遣いも非常に多いので、消費活動そのものが積極的。品質や自分のスタイルにもこだわりが強いようで、ネット・オークションを「レアなものが手に入る場」ととらえている。また、「服装は個性を発揮するための手段の一つだと思う」(+47.4)、「情報を人より早く取り入れるように心がけている」(+36.7%)という特徴をもつ。平均世帯年収は1,016万円(+275万円)、自由に使えるお金は月額99,612円(+48,313円)。
旧来的「消費者」層(クラスター4) 構成比: 17.0%
40代・50代の男性社会人が中心の層。生活における価値としての「再流通」意識は弱く、定着していない。「外食よりも、家で食べる食事の方が好きだ」(+3.5)、「健康に気をつけた食事をしている」(+4.2)という特徴がある。平均世帯年収は620万円(-121万円)、自由に使えるお金は月額53,429円(+2,130円)。
再流通好奇心主婦層(クラスター5) 構成比: 14.5%
40代・50代の主婦層を多く含む層。「やりくり上手」なライフスタイルが身に付いており、再流通消費に好奇心をもっている。また、「ものを買うときは、デザインよりも機能性を重視する傾向が強い方だ」(+28.9)、「服のデザインやスタイルよりも、実用性を重視する方だ」(+26.7)という特徴がある。平均世帯年収は682万円(-59万円)、自由に使えるお金は月額33,771円(-17,528円)。
無気力層(クラスター6) 構成比: 12.5%
比較的若い男性社会人の層だが、何事にもあまり前向きではなく、年収の低さもあって消費活動も消極的。特徴は「コンピューターは苦手な方だ」(+2.5)。平均世帯年収は598万円(-143万円)、自由に使えるお金は月額30,041円(-21,258円)。
アクティブシニア層(クラスター7) 構成比: 9.8%
何でも積極的にチャレンジしてみようという意識を持ったアクティブな高齢者層。ITサービスの利用にも積極的で、ネット・オークションの利用にも今後積極的になってくると思われる。また、「インターネット上の金融取引(インターネットバンキング、インターネット証券など)に対する抵抗はない」(+21.4)、「心の豊かさやゆとりを重視した暮らし方をする方だ」(+27.5)。平均世帯年収は793万円(+52万円)、自由に使えるお金は月額68,710円(+17,411円)。
アクティブ・シニア層の利用促進で浸透・定着を図る
ネット・オークションを上手に活用しているのは、クラスター3の「ネット・オークション・リーダー層」と、クラスター1の「デジタル・ネイティブ層」、次いでクラスター7の「アクティブシニア層」である。これら3つのクラスターに共通している点は、世帯収入あるいは自由に使えるお金の月額が比較的高いという点。また、消費だけではなく、他の様々な生活についても積極的かつこだわりを持っていることが伺われたという。さらにレポートでは、ネット・オークションの利用がポジティブな生活の一部になっていることが確認できると指摘している。
デジタル・ネイティブ層は、ネット・オークションを利用して「売り」と「買い」のバランスを取り、両者が一体になった新しい消費スタイルになっている。一方、ネット・オークション・リーダー層は購入回数の方が多く、彼らにとってネット・オークションは「買い物の場」という側面が強いという。
レポートでは、今後、アクティブシニア層の積極的な出品を促進することで、より一層の浸透・定着が期待できると予測している。
今後は再流通消費の特徴を生かし、従来の不要になったら捨てるという意識を、買って自分に合わない場合は売るとう意識に変えてゆくことで、ネット・オークションにおいて消費全体のバランスを取ってゆくこととなるだろう。