シマンテックは、2007年度の事業戦略について発表した。米Symantecが中小企業向けのSaaSである「Symantec Protection Network」を発表したばかりだが、国内でも同様にSaaS事業も含めてサービス事業を強化していくほか、政府機関向けから大企業、中小企業、コンシューマまで幅広いセグメントで事業を拡大していく考えだ。

2006年度のシマンテックは、買収したベリタスソフトウェアとの統合を完了させ、「合併後の企業基盤の確立をしてきた1年」(木村裕之社長)だった。社員数も倍増し、九州支社の設立、政府機関向けのシマンテック総合研究所の設立、販売パートナーの拡大と、製品、ソリューションを拡充してきた。

木村裕之社長

木村社長は、現在のIT社会において、ITのリスクが増大し、管理コストが増大している点を課題として挙げる。具体的には、ITリスクとしては情報の盗難などのセキュリティ、ビジネスの中断などのアベイラビリティ、法令違反などのコンプライアンス(法令順守)、顧客満足度の低下やIT生産性の低下などのパフォーマンスという4点のリスクに加え、管理や運用などでの複雑さが増大していると指摘。特にエンタープライズ分野に向けてソリューションやサービスを提供していく意向だ。

エンタープライズ分野には、いわゆる日本版SOX法やコンプライアンスに対応したソリューションを提供、政府機関向けのサービスも強化していく。ミッドマーケット向けには主要代理店との連携を強化、パートナープログラムを充実させるほか、地方支社の拡大も行う。昨年から始めた、ストレージ製品に自社製品をバンドルするような協業も今後強めていく。

さらにサービス事業に本格参入するため、新部門も立ち上げる。これまでウイルス対策エンジンをISPに提供していたが、スパム対策やバックアップに関してもISPに提供していく。また、ミッドマーケット向けにレンタルビジネスも開始。エンタープライズ分野にはマネージドサービス、リモートモニタリングサービスも提供していく考えだ。

このほか、モバイルビジネス市場に対してもソリューションの提供を強化していくほか、コンシューマ向けに対しても「Norton 360」を中心としたセキュリティ製品の拡販を狙っていく。

木村社長は、「安心・安全なネット社会を作っていくのが使命」と語り、今年25周年を迎えるにあたり、さらなる飛躍を目指していく意気込みを示した。

シマンテックが現在発表している製品群。新規開発や買収で今後さらにこれを拡充していく考え

ブランド力の強化も今年の方針