韓国のLG電子は2007年第1四半期の業績を発表した。2006年の第4四半期よりは好転しているものの、いくつかの不安要素も見受けられており、韓国内での評価は二分している。
LG電子本社の第1四半期の売上は6兆337億ウォン(約7,710億円)で、前期比9.3%増の成長を見せた。営業利益は1,729億ウォン(約220億円)で、434億ウォン(約55億5,000万円)の営業損失を出していた前期から一転、黒字転換に成功している。一方で1,284億ウォン(約164億円)の経常損失および1,226億ウォン(約156億円)の純損失も発生した。
また、今回は海外の法人・支社なども含めたグローバル分野の実績も合わせて発表された。ここでは売上が9兆5,929億ウォン(約1兆2,260億円)で前期比1.5%減となり、営業利益は277億ウォン(約35億4,000万円)で同82%減と悪化していることが分かった。
LG電子ではLG Philips LCDの営業赤字などにより、こうした営業損失が発生したと説明している。
LG電子の組織構成は、携帯電話などを取り扱うMC(Molibe Communications)事業本部、生活家電を扱うDA(Digital Appliance)事業本部、ディスプレイを扱うDD(Digital Display)事業本部、PCなどを取り扱うDM(Digital Media)事業本部に別れている。この事業部別の成績を見てみると、LG電子の業績に何が影響しているのかがはっきりする。
MC事業本部では、グローバルで2兆5,086億ウォン(約3,200億円)の売上と、1,214億ウォン(約155億円)の営業利益を達成した。前年同期比では売上が14.7%増、営業利益が黒字転換に成功した。
中でも好調な携帯電話は、売上が2兆3,538億ウォン(約3,000億円)、営業利益が1,102億ウォン(約140億円)で、利益率も前年同期のマイナス2.6%から4.7%に大きく改善された。LG電子ではDMB(デジタル放送)受信機能搭載端末や、メタリックな携帯シリーズの「Shine」、3G端末など高価格帯の端末が売れ、GSMなど新興市場での出荷量が増えたためと、好転の理由を説明している。
DA事業本部は、グローバルで売上が2兆9,412億ウォン(約3,700億円)、営業利益が1,685億ウォン(約215億円)。売上は前期比25.1%増、営業利益率は同37.1%増と、それぞれ大きく増加した。これは「北米や欧州における高価格・高級市場が成長し続けていることによる」(LG電子)という。
好調の反面、ディスプレイ部門の営業損失は大きく、LG電子の今回の業績にも影響を及ぼした。DD事業本部のグローバル売上は前期比13.9%減となる2兆7,536億ウォン(約3,500億円)、営業損失は2,621億ウォン(約335億円)に達し赤字を広げた。こうした業績不振はテレビやモニターの販売減少やフラットテレビの価格下落などによるものであると、LG電子では説明している。
さらにDM事業本部のグローバル売上は1兆3,819億ウォン(約1,770億円)で前期比7.4%減。営業利益は106億ウォン(約13億5,000万円)で、前年同期比でマイナス79.5%と大きく減少した。
ただしノートPCは韓国市場においては好調で、58億ウォン(約7億4,000万円)の営業利益を上げ、黒字転換を果たしている。
LG電子では第2四半期の展望として、W-CDMA市場の拡大などが見込まれるMC事業本部や、エアコンの繁忙期となるDA事業本部については持続した成長を見込んでいる。また、テレビの価格下落が鈍化することで、DD事業本部の赤字幅も少なくなるだろうとの見方を示す。一方、PC需要の閑散期に入り価格が下落するDM事業本部では、収益が減少すると見ている。