市川ソフトラボラトリーは、RAW現像ソフト「SILKYPIX Developer Studio」に水中で撮影された青みが強く色が抜けた画像を補正する技術を組み込んだ「SILKYPIX Marine Photography」の開発テスト版を4月下旬から同社のWebサイトで公開する。価格と正式な発売日はまだ未定。
「SILKYPIX Marine Photography」は、「水中での色の消失」を解決するためのRAW現像ソフトで、デジタルカメラで撮影された水中写真のデータの色を復元する技術を搭載。同社によれば、この技術は独自に開発したもので、画像から最適な調整を導き出す機能によって、ボタンをワンクリックするだけで鮮やかな色を復元することができるという。この技術によって、自然光で撮影できる水深の撮影限界を解消することができる。
まだ、一部のデジタルカメラのRAWフォーマットやDNGフォーマットには完全に対応できていないが、JPEGフォーマットの場合はすべてのデジカメに対応し、フィルムスキャナなどで取り込んだJPEG画像も補正できる。ソフトウェアの動作環境は、Windows Me / 2000 / XP / Vistaで、推奨はWindows XPとVistaとなっており、64bit OSには未対応。
なぜ色が消失し、それを再現できるのか?
光が水中を通過すると赤い光が水に吸収されるため、水深が深くなるほど赤みが欠如して青みが強くなる傾向にある。また、水中にある微粒子が小さい場合は青い光だけを散乱させるが、大きな微粒子やプランクトンは緑の光を散乱させるため、その影響で緑がかって見える場合がある。これらの散乱光は水中の被写体にも届くため、デジカメを使って撮影された水中写真データも水深や微粒子の影響で青みが強かったり、緑がかった写真となってしまう。市川ソフトラボラトリーは、実際の海で撮影した多くのカラーサンプルや計測結果をもとにデジカメで撮影された水中写真のデータに残された色情報を取り出し、正確な色を復元する技術を開発し、水中に特化したオートホワイトバランスや水深でホワイトバランスを決定できる調整機能によって写真の青みを解消している。「SILKYPIX Marine Photography」での補正を前提として撮影すれば、今までストロボを使わなければ撮影できなかった深度での水中撮影も自然光で撮影が可能になり、ストロボやライトを使用して難しかったワイド撮影や遠距離での撮影、青みが濃く色が薄くなりがちな広角撮影でも、色彩豊かな写真の撮影が可能になってくる。