レッドハットは4月18日、同社の企業向けLinuxディストリビューションの最新バージョン「Red Hat Enterprise Linux 5」の提供開始を発表した。製品は、ミッション・クリティカル・システムを想定したCPU数無制限のサーバ向け「Red Hat Enterprise Linux 5 Advanced Platform」、最大2CPUまでのエントリサーバ向け「Red Hat Enterprise Linux 5」、ワークステーション等のクライアント用途向けの「Red Hat Enterprise Linux 5 Desktop」の3種類で構成される。
Red Hat Enterprise Linux 5 Advanced Platformは従来の「Red Hat Enterprise Linux AS」の後継製品と位置づけられるが、従来はオプションとして提供されていたクラスタリングソフトウェア「Red Hat Cluster Suite」やストレージ仮想化のための「Red Hat Global File System」などが標準で提供される。
価格は従来通りライセンス料はなく、サポート費用に相当する年間サブスクリプション形式となり、Red Hat Enterprise Linux 5が年間101,640円から(2CPUまで、スタンダードサポート)、同Advanced Platformが204,750円から(CPU数無制限、スタンダードサポート)、同Desktopが288,750円から(1CPUまで、25台分、ベーシックサポート)となっている。
今バージョンの特徴は、オープンソースの仮想化ソフトウェア「Xen」を統合した点。特にAdvanced Platformでは仮想化して動作させるゲストOSの動作数も無制限となっている。なお、ベースとなるカーネルはLinux 2.6.18となった。
同社の代表取締役社長の藤田祐治氏は「テクノロジーからソリューションへと方向転換を図る」とする。
つまり、ただ新しいLinuxディストリビューションを発表するということでなく、レッドハットが企業向けのソリューション提供に注力、Red Hat Enterprise Linux 5を企業向けソリューションのための中核的プラットフォームと位置づけるということだ。
また同氏はFedoraとEnterprise Linuxの関係について、「Fedoraで最新の技術を試し、熟成したところでEnterprise Linuxで企業向けに提供する」と再確認した。
ソリューション・プロバイダーとしての取り組みの一環として、Red Hat Enterprise Linux 5 Advanced Platformを中核とし、システムに最適化されたプロフェッショナル・サービスや製品、トレーニングなどをパッケージ化したソリューションを製品化、発表している。
今回発表されたのは、ミッション・クリティカル・システム構築に必要な製品やサービスを包括的に提供する「Red Hat Datacenter Solution」(30台まで、1年間サポートで1560万円から)と、科学技術計算向けソリューションとなる「Red Hat HPC Solution」(16ノード、1年間で156万円から)の2種類。3月に行なわれた世界向けの発表ではDatabase Availability Solutionも同時に発表されているが、国内では「提供計画はあるが、現時点ではまだ未定で詳細は明らかにできない」段階だという。
なお、日本国内でのソリューション提供の取り組み強化のために、日本向けには戦略的なに重点投資が行なわれているという。具体的な人数は明かされなかったが、藤田社長は日本国内でプロフェッショナル・サービスに携わる人員を倍増する計画があることに言及している。
続いて登壇した米Red Hatのシニア・バイスプレジデントのティモシー・イートン氏は「企業のCIOは限られた予算の範囲内でシステムの強化を行ない、競争優位なシステムを開発する必要に直面している」とし、その解決策として「実用レベルに成熟したオープンソース・ソフトウェアの導入」を挙げた。さらに同氏は、「Red Hatはフルラインのオープンソース・ソリューション・ベンダー」だと位置づけ、企業のCIOが直面する課題に解決策を提供することに取り組むとアピールした。
最後に、同社のマーケティング&パートナービジネス本部長の纐纈昌嗣氏が登壇し、機能面でLinuxは既にUNIXと同等の機能を備えるに至っていることや、性能面でもUNIXを凌駕していることを、各種のベンチマーク・テストの記録がRed Hat Linuxを使って達成されていることを紹介しながら示した。そして、将来の"野望"として、「Windowsサーバはある意味盤石な市場を築いているのでそのままかもしれないが、UNIX市場の大半はLinuxで置き換えられるだろう。5年後には現在のUNIX市場の80%をLinuxに置き換えたい」と語った。
これが…… |
こうなる? |
藤田祐治氏代表取締役社長 |
ティモシー・イートン Red Hat シニア・バイスプレジデント |
纐纈昌嗣マーケティング&パートナービジネス本部長 |