マイクロソフトは18日、大規模/中規模企業を対象とした新たなERP製品「Microsoft Dynamics AX 日本語版(以下、Dynamics AX)」を発表した。Dynamics AXは、マイクロソフト製品の操作感で各種の業務処理を進められる点などを特徴とする業務パッケージ。すでに発売中の「Microsoft Dynamics CRM 日本語版」と合わせて、国内業務パッケージ市場での躍進を狙う。

マイクロソフトビジネスソリューションズ事業統括本部 MBSプロダクトマーケティング本部 AXプロダクトマネージャ 國持重隆氏

「Dynamics AXの主な特徴としては、"ユーザーにやさしい"、"ユーザー個人の嗜好や業務に対応"、"ユーザーが長く使える"、の3つが挙げられる」--マイクロソフトビジネスソリューションズ事業統括本部 MBSプロダクトマーケティング本部 AXプロダクトマネージャの國持重隆氏は、Dynamics AXについてこのようにコメントする。

これらのうち、最初に挙げられている「ユーザーにやさしい」とは、マイクロソフトユーザーが慣れ親しんだ操作感で業務アプリケーションを操れるということを意味する。例えば、発注画面上に表示されている顧客データを変更したいという場合、多くのERP製品では、トップメニューに戻り、いくつかのリンクをたどって修正画面に遷移するというオペレーションを強いられるが、Dynamics AXでは、右クリックで表示されるポップアップメニューから顧客データの編集画面を呼び出すことができる。

また、他のマイクロソフト製品との親和性を高めた点も「ユーザーにやさしい」を補完するポイントの1つだ。例えば、Dynamics AXのデータをMicrosoft Excelに取り込んで数値の分析を行うといったことも容易に行える。あらかじめ設定しておけば、Dynamics AXの画面でログインしなくても、Microsoft Excelへデータを直接取り込むといったことも可能だ。

一方、「ユーザー個人の嗜好や業務に対応」というメッセージには、パーソナライズが容易という意味が込められている。Dynamics AXでは、ユーザーが簡単なプロパティ設定画面で自由に表示項目を変更できるほか、同一サーバに接続するユーザーでも使用するPC環境に応じて異なる言語でメニューを表示させることが可能である。

マイクロソフトビジネスソリューションズ事業統括本部 MBSプロダクトマーケティング本部 本部長 御代茂樹氏

最後に、「ユーザーが長く使える」という点では、ビジネス環境の変化やソフトウェアの更新にも柔軟に対応できることがアピールされた。Dynamics AXの内部では、画面部品や処理をオブジェクトとして定義しており、それらが8つの階層で管理されている。各階層は、Dynamics AXの標準機能を管理するためのもの、サードパーティ制のアドオンを管理するためのもの、カスタマイズ機能を管理するためのもの、といった具合に役割が分かれており、カスタマイズ部分を消失することなく各種アプリケーションを入れ替えることが可能である。したがって、「ERPに多くのカスタマイズを施したがためにシステムの刷新が難しい、という状況を改善することができる」(マイクロソフトビジネスソリューションズ事業統括本部 MBSプロダクトマーケティング本部 本部長 御代茂樹氏)という。また、こうした階層構造の管理機構により、例えば、本社で共通の機能を定義し、その上に拠点ごとに独自のカスタマイズを施すといった使い方もできる。将来のバージョンでは、Microsoft Visual Studioとの連携も予定されており、カスタマイズが行いやすい環境をさらに整えていく予定だ。

Dynamics AX 日本語版の発売は6月が予定されている。すでに日本語化作業は完了しているが、現在は日本の商習慣に合わせた改修を進めている最中だ。対応するデータベースは、SQL Server、ORACLE Database。「アドバンスド マネージメント エディション」と「ビジネス エッセンシャルズ エディション」の2つのエディションがリリースされる。販売は「信頼できるパートナーを通じて行われる予定」(御代氏)で、製品の開発と平行してパートナーの確保も進めている。