米Googleが4月13日(現地時間)に発表したオンライン広告企業の米DoubleClick買収を受けて、ライバル企業の米Microsoft幹部が短い声明文を出している。それは、Googleによるオンライン広告事業の専制を危惧するものだ。
米Microsoftシニアバイスプレジデント兼ゼネラルカウンシルのBrad Smith氏は4月15日(現地時間)、GoogleのDoubleClick買収発表を受け、次のような短い声明を発表した。
「ここで提案されている買収は、オンライン広告配信ならびに、ユーザーのオンライン上での挙動監視で膨大な量の顧客情報にアクセスできる点、GoogleとDoubleClickのコンビに空前絶後の権限を与えるという点で、深刻な競合問題とプライバシー上の問題を巻き起こすことになるだろう。政府機関が求める健全なオンライン広告市場に対し、今回の合併は閉じた市場を模索するものであると、われわれは考えている」(Smith氏)
DoubleClick買収を巡っては、同社の実質上のオーナーであるHellman&Friedmanが複数の企業に買収提案を持ち込んでおり、オンライン広告業界の老舗を巡って争奪戦が繰り広げられていた。
米Wall Street Journal紙などの報道によれば、当初は売却先としてMicrosoftが有力候補として挙げられていたが、最終的には争奪戦に最後に参加したGoogleが買収を行うことで決定し、Microsoftが競り負けたかたちとなっている。特にオンライン広告事業でGoogleやYahoo!に出遅れているMicrosoftにとって、DoubleClick買収は市場拡大の大きなチャンスだった。
近年、買収や企業提携、人材獲得を巡り、MicrosoftとGoogleが激しく競合するケースが目立っている。例えば2005年、当時Microsoft Research幹部だったKai Fu Lee氏をGoogleが引き抜いて中国法人の研究所トップに迎えた件では、両社間で法廷闘争に発展している。また、Googleが2005年に発表したAOLとの戦略提携では、AOLは当初提携先としてMicrosoftを検討していたことが報じられている。2006年には、GoogleにとってDoubleClickに並ぶ規模となった米YouTube買収でも、一時はその候補にMicrosoftの名前が挙がったこともある。
MicrosoftがGoogleに対して名指しで痛烈な批判を行ったのは、今回が初めてではない。今年3月初旬に米国出版者協会(AAP)で講演した米MicrosoftのThomas Rubin氏は「GoogleとYouTubeほど著作権者の権利に無頓着な企業はない」と、講演時間の大部分を使って批判の言葉を連ねている。