ヤフーは、これまで提供してきたオンラインブックマークサービス「Yahoo!ブックマーク」に、他ユーザーとブックマークを共有できるソーシャルブックマーク機能を追加した。簡単に利用できるように使い勝手に配慮したほか、ブックマーク時のサイトのデータをキャッシュして保存することで、登録したサイトが消失しても情報にアクセスできるようにした。
Yahoo!ブックマークは、2001年8月からスタートしたオンラインのブックマークサービスで、現在、約3,700万のURLが登録され、月間25万のログインユーザーが利用している。「日本で最も利用されているオンラインブックマークサービスと言ってもいいのではないか」(ヤフー検索事業部企画部メインサーチ企画前川英之氏)という。
新しくなったYahoo!ブックマークでは、従来通り気になるサイトをブックマークとして登録して保存できる。オンライン上に保存するため、PCを問わず常に同じブックマークを使える点が利点とされる。今回はさらに、保存したブックマークを一般に公開、他ユーザーでもその情報を閲覧できるようになった。同時に、「人気ブックマーク」というかたちで、登録したユーザーが共有しているブックマークの中で、一定時間内に登録数が急増したブックマークのランキングを表示できる。
さらに、そのブックマークを公開しているユーザーのほかのブックマークも確認できる。自分の興味のあるブックマークを公開しているユーザーは趣味が似ている可能性があるので、自分が興味のある、今まで知らなかった新しいサイトを発見できる可能性が出てくる、というわけだ。
登録するブックマークは公開・非公開設定とタグ付けでの管理に対応。人気のタグも羅列され、人気の度合いによってタグの大きさが変わる仕組みも導入されている。「タグをよく理解していない人もいる」(前川氏)ことから、Webブラウザのブックマークのようなフォルダ分けでの管理も可能だ。
これまでのオンラインブックマークサイトにはない機能がキャッシュ機能で、ブックマークに登録した時点でのサイトのHTMLをキャッシュとして保存しておくことができる。これにより、登録したブックマークを検索する際に、タイトルやタグだけでなく、サイトの本文からも検索が可能になった。なお、このキャッシュはブックマークを登録したユーザーだけが閲覧できるほか、画像などは保存されないので、ページがなくなった場合は本文だけが閲覧できることになる。
ブックマークの検索結果。タイトルにもタグにもない「天神」の語だが、本文に語があったため検索された |
これはキャッシュした本文の例。画像も表示されているが、仮にこのページがなくなった場合、画像は表示されなくなる |
そのほか、Yahoo! JAPANで検索すると、検索結果に自分のブックマークの検索結果も表示され、サービス間の連携も考慮されている。自分のブログをオンラインブックマークに登録したり、そのサイトのブックマーク登録数を表示するブログパーツも提供される。
ヤフーの調査では、これまでオンラインブックマークサイトを利用していた人でも、「操作が面倒くさい」という理由で利用を停止している人もいたため、操作性にも配慮。ドラッグ&ドロップでフォルダの移動を可能にしているほか、Internet ExplorerとFirefox用のブックマークレットも提供。素早くブックマークの登録が可能。
また、IE用の「Yahoo!ツールバー」を使うことで、さらに使い勝手を向上させている。Yahoo!ツールバーでは、1ボタンで現在見ているサイトをブックマークとして登録できる。現在見ているサイトが、オンラインブックマークでどの程度のユーザーが共有しているか表示されるので、サイトの注目度も分かる仕組みだ。
Yahoo!ツールバーには、見ているサイトのブックマーク登録数が表示される |
ツールバーを使うことで、ブラウザのブックマーク機能のようにYahoo!ブックマークを利用できる。登録したブックマークはすぐに反映される |
前川氏は、ブックマークについて検討した際に、ブラウザのブックマーク機能は操作が簡単だがPCに縛られ、ソーシャルブックマークはタグで共有し合うことで興味のある新しいサイトの発見があって面白いが、操作が面倒で、検索ができてもページそのものがなくなってしまったらどうしようもなくなってしまう。
そうした点をふまえてサービスを開発。今回のサービスはYahoo! JAPANの新サービスとして開発を行っているが、開発チームには米Yahoo!のメンバーも参加。日米合同のチームが、Yahoo! JAPANの新サービス開発を行ったのは「恐らく初めて」(前川氏)という。
米Yahoo!では、MyWebやdel.icio.us、Beta.Bookmarksといったサービスを提供。ブックマークの共有や全文検索などのサービスを提供してきた。Yahoo!ブックマークにはそういった経験が生かされているそうだ。現在のところ、同サービスは日本限定のサービスだが、今後海外での提供も検討されるそうだ。日本のみで同サービスを開始することについて、米Yahoo!のFred Delse氏は、日本はソーシャルサービスへの参加率が高く、検索シェアでヤフーがトップでもあることから、日本でやるのがふさわしいと考えたからだという。
今後はこのサービスのAPIを公開する意向で、さらにいつもアクセスするサイトやよく検索する語を蓄積して、履歴のようにブックマークに登録するようなサービスも考えているそうだ。前川氏は、Yahoo!ブックマークのユーザー数を現在の2倍にすることを目標にし、今後もサービス強化を続けていく意向を示す。「Yahoo!ブックマークはインターネット上の人類の記憶装置」(前川氏)が目標だ。同時に、現在のオンラインブックマーク市場はまだ小さいとの認識で、これを拡大していきたい考えも示している。